妻たちの宴会に現れた芸能人、スポーツ選手…
この組織では、かつて2次団体の組長クラスの妻たちの集まりがあったという。
「この会合は、俗に言う『極道の妻たち』の飲み会だな。よく開催していた。そのほかに、歌手のコンサートにみんなで出かけていたこともあった。昔の話だが、歌手によっては組長クラスが声をかけて妻の集まりに遊びに来てもらい、歌声を披露してもらうこともあった。
よく呼ばれた歌手のうちの1人は、以前にヒット曲を連発してかなり人気があり、テレビにもよく出ていた。遊びに来ると態度や口の利き方が横柄だったが、親分と姐さんが気に入っていて可愛がっていた。飲み会では数曲、歌ってくれた。宴会が終わるとこの歌手は当然のように、小遣いをもらって帰って行った」(同前)
今となっては考えられないが、昔は忘年会、新年会などの集まりに人気の歌手や俳優ら芸能人だけでなく、有名なスポーツ選手たちがたくさん来ていたという。
「歌うほか、ちょっとした芸を披露して、座興のようなことをやって盛り上げてくれた。今は飲食の場に同席しただけでアウトになってしまうがね。芸能人とはゴルフなどもよく一緒にプレーしたものだが、これも今はダメになってしまった」(同前)
芸能界と暴力団組織の関係は、昭和の時代には公然のものだった。しかし、警察当局の指導や取り締まりの結果、その関係は遮断されるようになった。それでも芸能人との交際が発覚、大きな社会問題となることがある。
前出の指定暴力団幹部も次のように語る。
「最近は芸能人、プロスポーツ選手がヤクザやその姐さんたちの会合に顔を出すことは全くない。公になれば芸能界、スポーツ界から追放される。そのような危険な橋を渡る人はいない」
だが、姐さんの前で歌声を披露する歌手の存在が全くなくなったのかどうかは、不明な点が多い。水面下のこうした交際が再び表面化しないという保証はない。(敬称略)