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気風のよい「姐さん」はすぐに金を貸してくれる
首都圏で活動している別の指定暴力団のベテラン幹部が、自らの体験を述懐する。
「自分は若いころに事務所で部屋住みをやった。仕えた親分には正妻のほかに女が数人いた。いわゆる愛人。正妻の姐さんは事務所に顔を出すことはなく、丁寧な話し方で『すみません、(組長は)おりますでしょか?』などと、たまに電話があるぐらいだった。逆に、数人いた愛人のうちの1人は、事務所に立ち寄ることが多かった。事務所で若い衆にいろいろ用事を言いつけるなど、姐さんとしての実権を握っていた」
この愛人はクラブを経営していて、いわゆるやり手だったという。
「ある時、愛人のクラブで働いていた売れっ子のホステスのうちの1人が、ホストクラブの男に惚れて、熱を上げてしまって仕事がおろそかになった。すると、『何とかして』とお願いというより、指示が下りてきた。面倒だからほっておいたけど。すると、別の若い衆に同様の指示をしていた。このようなことが色々あったが、人事やシノギ(資金獲得活動)など組の運営に口をはさむことまではしなかった」(同前)
組員たちに言いつけるのはあくまで私用というわけだ。一方で、面倒見のよいところもあったという。
「カネに困ると100万~200万円ぐらいはすぐに貸してくれた。気風の良いところはあった。正妻となる姐さんは本宅で生活していて、事務所とはほとんどかかわりはなかった。組長はこの愛人宅で生活していたため、後から組に入ってきた後輩たちは、愛人のことを正妻と勘違いして、『姐さん』と呼んでいた」(同前)