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喧嘩の緊張で、せっかく食べたパンを吐いてしまった

汪楠:血もぬるぬるだし、刺した感触がすごい残ってて。向こうが30人でこっちが7、8人で、刺した場面では勝ってるんですよ。それで、地面に落ちたパンを拾って急いで家に帰ろうとした。

 でも、自分らが家にたどり着く前に、地元の有名な暴走族が、200人ぐらいで待ち伏せしていたんです。で、自分ら中国人を殺すぞっていう話になっていたんですよ。

 俺達も、パンを買いに行ったメンバーは一部なんですよ。それで、残りの奴らが、パンを買いに行った班はパンを食ったから帰って来ないんじゃないかって疑った。それで、仲間が探しに来たんです。最終的に、合流して人数がちょっと増えて12、3人ぐらいになった。向こうは30人が50人、100人に膨れ上がっていって、200人ぐらいになりました。200人ってめちゃくちゃ多いんですよ。クラス4個分だもん。

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 そんな最中に、自転車に乗ったお巡りさんが来て、これは助かったって思ったんです。そしたら、そのお巡りさん、缶コーヒー買ってそのまま帰りやがって。

一同:(笑)

草下:ひどいですね。

写真はイメージ ©iStock.com

汪楠:で、刺したり、バットで殴ったりして、すごい血が出て大けがした。結局、相手側のチームの人が出てきて「もうやめよう」と。それで「友だちになろうか」って言われて、偉そうに「おう」とか言いながら別れて角っこを曲がったんですよね。そしたらもう緊張が緩んで、せっかく食べたパンを吐いてしまったんです。

草下:すごい……パンの戦いですよね。

汪楠:食べ物の恨みはやっぱり大きいですよね。

©藤中一平

草下:その夜、人を刺してしまったということは、どう自分の中で捉えたんですか。

汪楠:そんなに繊細でもないですね。ずーっと喧嘩していると、内臓をやられているので、おしっこに血が出るんです。アドレナリンに耐えられないから。だからふらふらです。刺してしまったっていう罪悪感よりは、その日は多分、結構疲れていたんだと思います。

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(2021年3月2日、ロフトプラスワンにて)