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草下:「腹が減っては戦はできぬ」ってね。
汪楠:そう、できない。それでむしろ相手を怒らせたみたいで。それで30人ぐらいにボコボコにされたんです。そうしたら、喧嘩になった途端にパンを地面に落とされて。殴られたっていうより、パンを捨てられた恨みが大きくて。
草下:そうですよね。
汪楠:相手は多分、当時10代後半か20代じゃないかな。体格が大きかった記憶があるんです。無我夢中で反撃したとき、持ってたドライバーで相手を刺したんですよね。それが初めて人を刺したときのことです。
「刺した瞬間に、すごい体に入った感触がある」
草下:刺したときの感覚って覚えてます?
汪楠:覚えてますよね。刺したら相手が攻撃をすぐやめてくれるとか、うずくまるとか映画で見たようなイメージを想像していたんです。
刺した瞬間にすごい(体に)入った感触があるんですよ。真夏だから多分相手はTシャツ1枚だった。でも、(ドライバーが)入ったことに相手が全然気付いてなくて、そのあとさらに何発か殴られて。で、ちょっと動かしたらすごい血が出たんだよね。
草下:動かしちゃったんですね。
汪楠:うん、そうですね。そしたら刺された相手も自分も、血を見た瞬間に、びっくりして。相手も血の気が引いて「あー……」とか言って二人は離れて。
上出:気付かないぐらいアドレナリンが出てるんですね。
草下:そうでしょうね。