でも、あれをやったから「こいつら何するかわからないから、毎週見なきゃ」になるんです。猿岩石のヒッチハイクによって番組自体に感動が求められていたから、それを裏切った。テレビとしてはそれが正解なわけですよ。
――その後、猿岩石との付き合いは?
有吉(弘行)とはまったくないです。基本的には彼は僕のことが嫌いですから(笑)。「そりゃそうだろうな」と思いますけど。よく「猿岩石を育てた」みたいなことを言われることがあるけれども、僕は育ててないし、有吉もたぶん「育てられてない」って思っていますよ。憎み合った夫婦みたいなもんです。
なすびの「懸賞生活」には「祭りの起源」が写っている
――なすびの「懸賞生活」(※なにもない部屋で、懸賞の景品だけで生活をする企画)は壮絶でした。
猿岩石はまだ外にいたけど、なすびにいたってはずっと部屋の中にいて、誰とも接しないのに、それでも面白い(笑)。何も食えない日が何日も続いたところで、コメが来た時の狂喜乱舞。そこにみんな涙するくらい笑うし、共感する。あの場面に人間の原始の、「祭りの起源」を見たわけですよ。五穀豊穣を祝う豊年祭で「獲れたぞ!」と言っている人間の生の姿を見ていたんですね。
その後、誰かがあのコーナーをYouTubeにあげていて、それを海外の人も見て驚いていました。ドキュメンタリー映画化の話も来たりするんですけど、それだけインパクトが強いんでしょうね。そこに「祭りの起源」が写っているからだと思っているんですけど(笑)。
――こうした生の感情が現れる瞬間、これが一番面白い?
僕はそう信じちゃっているから。
――なすびをキャスティングしたのはどんな理由で?
一応、オーディションはしたんですよ。そうはいっても、誰がいいかなんてわからないし、運が必要な企画だからクジ引きをした。それでアタリを引いたのが、なすびだっただけですね。後になって超人的な忍耐力があるとわかるんですけど(笑)。部屋に閉じ込められて毎日毎日200枚のハガキを書き続けられる奴なんていませんよ。