松本明子・松村邦洋の「アポなし」取材や猿岩石の「ユーラシア大陸横断ヒッチハイク」などで世間を騒がせ続け、番組の存在そのものが事件であり、スキャンダルだった。そんな『電波少年』シリーズ(日本テレビ系1992-2003年)のプロデューサーで“T部長”として自らも出演した土屋敏男氏が今年、新番組『電波少年W~あなたのテレビの記憶を集めた~い!~』をスタートさせた。

 では、土屋氏にとって『電波少年』とは何だったのか。『電波少年W』が謳う「テレビの記憶を集める」とはどういうことか。人の心を揺さぶるコンテンツはどうのように生み出されるのか――そんな“テレビの本質”について、同氏に話を聞いた。(全2回の2回め/前編を読む)

 

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新番組で“70年のテレビ番組の歴史を総括したい”

――今年1月からWOWOWで『電波少年W~あなたのテレビの記憶を集めた~い!~』が始まりました。

 この番組は「アポなし」や「ヒッチハイク」をやろうというのではないんです。ここでは、コミュニティから番組を作りたいと思っています。これだけ僕たちの生活をSNSなどのコミュニティが大きく変えたのに、テレビでは「ハッシュタグで番組についてツイートしてください」などやるくらいです。

 BS放送が始まって、インタラクティブが言われるようになった時も、先のストーリーを視聴者の投票で決めるとか、そんなことばかりやっていた。僕はそういうのじゃないだろうと思っています。例えば『電波少年W』で過去の「電波少年ベストセレクション」をやるにしても、アラファト議長のところに松本明子がデュエットしにいったVTRとか、いろいろあるんです。でも、そこから何を入れるのかを投票で決めるとかではなく、どういうものを入れていくかをコミュニティで議論しながらみんなで作っていく。そういうことをやっていく番組にしようと思っています。

 

――副題に「あなたのテレビの記憶を集めた~い!」とあります。

 日本のテレビ番組の歴史は約70年ですが、それを個人的にも総括したい気持ちがあって。番組のコミュニティでみんなのテレビの記憶を集めていく。それから「テレビの帝王と呼ばれた男」と題して、伝説になるような番組を作った人たちの話を聞いていく。そうしたことをやっています。