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「男子とプレーするのが普通でしたから」 日本初“男子と同一チームでプレーした女子プロ野球選手”が振り返る「あの頃」

吉田えりインタビュー#1

2021/03/25
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2017年にエイジェック女子硬式野球部に加入

 そして2017年11月、吉田は現在の所属先でもある、栃木県小山市を拠点に新たに設立されたエイジェック女子硬式野球部に加入。選手兼任監督(現在は兼コーチ)などを務め、プレーヤーとしてはもちろん後進の指導に当たっている。

 ナックルという他にはない武器を手に入れたことで男女の垣根を越えてプレーしてきた吉田いわく、現在の女子野球のレベルは非常に高いという。

「私の時代は高校に女子野球部があったのは全国で5校しかなかったのが、今では30校以上あり更に増えつづけています。中学生で120キロを超えるボールを投げるピッチャーもいるぐらいですからね。女子のプロ野球ができたのは、私が高校生でプロになった翌年だったんですけど、もし高校時代に女子野球があったらそっちを目指していたかもしれませんね」

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©️文藝春秋

競技人口は増えても、受け皿が少ない女子野球

 自分の時代とは比べものにならないぐらい競技人口は増えているが、吉田が憂えているのはその受け皿がまだ少ないということだ。

「女子プロ野球が活動を休止してしまったので、やはり小さい子どもたちは何を目指せばいいのか、あるいはこのままつづけていても大丈夫なのかって考えると思うんです。例えば西武ライオンズと阪神タイガースといったNPBの球団が女子チームを作りましたが、小さい子が憧れるようなリーグや組織ができればいいのかなって思うんです。そういった道筋ができるように、少しでも女子野球を盛り上げることができればいいなって」

 現在の目標は、所属するエイジェックで全国制覇すること。吉田は昨年肘の手術をして実戦から離れているが、まだまだマウンドに立つつもりだ。

「ちょっとずつ投げられるようになっているので、もう一度チャレンジしたいと思っているんです」

©️文藝春秋

 道なき道を進み日本とアメリカを渡り歩いた“ナックル姫”は、瞳を輝かせ頂点を目指す――。(後編に続く)

撮影=末永裕樹/文藝春秋

その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。

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