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200人以上の政治家に500万円ずつ配った“兜町の風雲児” 稀代の相場師が失墜した理由とは

『兜町の風雲児 中江滋樹 最後の告白』より #2

2021/03/26
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10倍融資の金融業は“白に近い黒”

 そうやって名刺代わりに配った総額は「10億円はある」というから、累計200人くらいの政治家に配っていたことになる。そうした名刺代わりの札束から、遊興までを含めた中江の資金力を支えた「10倍融資」、そのスタートからの約2年間が「投資ジャーナル」にとってのピークだったことになる。

「何度でも言うけど、10倍融資の金融業は“白に近い黒”、証取法違反になる前に止めようと何度も思ってはいたのにズルズルいってしまい、止められなかった。

甘かった見通し

 あの頃はいつもその日の儲けを見て、どんぶり勘定で計算していた。ところが、客の預かり金と儲け分をざっと計算してみると、預かり金すべてを返金しても5億くらいのプラスと見ていたのが、経理の報告を見ると儲けがやけに少ない。悪くてもプラマイゼロになってないといけないのに、預かり金より10億ほどもマイナスになっているので、プラスにするまで止められないと思っていた。おかしいなと思ったんだ。実は幹部連中がちょろまかして抜いてたんだよ」

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 会員は増え続け、資金もふんだんに集まってはいたが、中江自身が終始、内心ではビクビクものだった。

©iStock.com

「会員が3万人はいて、金融業を始めてからは毎月2億円の宣伝費をかけて広告もバンバン打っていた。心の中では半分危ないと思いながら、政治家とつながっておけば当局の動きを抑えられるだろうと思っていた。だけど逆だったよ。政治家とつながっていたから余計に大きな事件になってしまった……」

 相場の読みにかけてはプロでも、前途の暗転まで見通すことはできなかったのだ。

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