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生理に対してポジティブな考えを持てるか?

 無月経の大きな要因はいきすぎた減量にあるが、例えば過度な肥満の場合やストレスでも生理が止まることはある。ただ食べればいいというのではなく、正しい食生活や厳しい競技生活の中で上手にストレス解消をする方法を知っておくべきだ。

 無月経の期間が長くなれば、生理が再開するまでに時間がかかる。たとえ生理が再開しても、卵巣が萎縮し、機能不全になっているケースもある。それに気づかず、パートナーと出会ってから、不妊に悩む場合もあるのだ。

「例えばピルを飲めばいいという意見もあるのですが、日本は欧米に比べて認可されているピルの量が少ない。体質に合わずに飲めない人もいるし、競技生活を続けながら、色々なピルを試して自分に合うものを探すというのは、特に残された競技人生が長くないベテラン選手たちにとっては現実的ではありません。生理も体質も人それぞれで、全員にピルがいいとは限らないんです。今、私が生理について発信しているのは、若い人たちに伝えたいのはもちろんですが、同世代の人や陸上を引退した人にもきちんと知って欲しいと思っているからです」

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 今、新谷の発信は徐々に広がりつつある。昨年、中高生を対象にした大会に参加したときのことだ。

「2人の娘さんを持つお母さんが来られて『うちの娘は中2なんですけど、生理がまだなくて悩んでいたんです。だから新谷さんが生理に関してTwitterで発信されていることがすごくうれしくて』と泣きそうになりながらおっしゃって。『今、娘さんに生理がないことよりも、お母さんのその考え方をこれからも貫いて欲しい。今後、周りから生理がない方がいいとか、生理に否定的な発言が出たとしても、お母さんだけは娘さんに対して生理が必要だと教えて欲しい』とお伝えをしました。生理に対してポジティブな考えを、親御さんが持っているかどうかで、状況は大きく変わりますから」

「生理って尿や便と一緒でしょ」というコメントも…

 若い選手たちにとって親や指導者の影響力は大きい。だが、選手自身も学び、正しい知識を持って欲しいと新谷は語る。そして周囲ときちんとコミュニケーションを取る重要性も彼女は知っている。

「私が生理に対して発信したときに、『生理、生理って尿や便と一緒でしょ』というコメントもありました。多くの価値観がありますし、考えようによっては汚物ですから、そういう意見を批判する気はありません。男性にただ分かって欲しいと言っても、理解してもらえないことがあるのも当然です。

 だからこそ、しっかりと説明ができるように、自分自身が正しい知識をつける必要があるし、理解されないからと言って女性が生理に対して後ろめたく生きていくのはおかしい。そして理解されにくいことを理解してもらうためには、指導者や周囲の人たちと、生理に限らず日頃からコミュニケーションをとっていくことも大事だと思っています」

 

撮影=榎本麻美/文藝春秋

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