こんなに明るくまばゆい絵って、この世にあるのだっけ?
つい、そんなつぶやきが漏れてしまう。
会場がうららかな空気に充ちていて、春の訪れを体感させてくれる展覧会がこちら。
東京六本木のギャラリー、シュウゴアーツでの近藤亜樹「ここにあるしあわせ」展だ。
塗るほどに画面が明るくなっていく
近藤亜樹は、2010年代初頭からたゆまず創作を続けるアーティスト。絵に描くのは身近なものばかりなのに、それが神話に触れたようなスケール感を観る側に与える。
2019~2020年にかけて描かれた今展出品作もそう。パンケーキにリンゴ、コップやオモチャ。母子の肖像、そしていろんな種類の花。
どれも日常で当たり前に見かけるものが、一つひとつ驚くほどの存在感を放つ。そのものがそこにあると確認できただけで、これほど満たされた気分になる不思議。展名の通り「ここにあるしあわせ」が、まさに眼前に現れている。