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「なんで勉強しないといけないの?」子どもに聞かれたときの“意外すぎる”理想の回答

『「しつけ」を科学的に分析してわかった小学生の子の学力を「ほめる・叱る」で伸ばすコツ』より#2

2021/04/12
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 エジソンやアインシュタインといった天才が、一心不乱に研究に打ち込む姿や幼い頃から好奇心の塊のように過ごしてきた姿をイメージすれば、これが理想の答えであることに異論はないと思います。ただ、理想的過ぎて「自分の子どもがそうなるとは思えない」と無視されてしまいがちなのかもしれません。

 これらは、どちらかが正解ということではありません。むしろ、どちらも正解です。この二つは両立するもので、同時に求めても何ら間違いではないのです。「楽しく勉強して、結果的に多くの選択肢を持っている」のが最も良いですよね。

人生が楽しくなる「勉強する理由」

ちなみに、もし私が勉強する理由について問われたら、次のように答えます。

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・学ぶことで能力や知識が身について「できる自分」が広がる

・次の目標とする「なれる自分」の選択肢が広がる

・知識を得ることで視野が広がり、「なりたい自分」も広がる

 例えば、小学生の人気職業は「小学生が知っている職業」に限られます。「スポーツ選手」「YouTuber」「医者」「教師」「ゲームクリエイター」など、いずれも小学生の視野に入る職業です。

©吉村堂

 それに対して、学ばなければ見えない職業もたくさんあります。例えば、「サッカー選手」の周囲には「サッカーに関わる様々な職業」が隠れています。栄養管理、試合の宣伝、スタジアムの設計、全体の経営、どれも学ぶことで初めて見えてくる職業です。これらは不人気なのではなく、そもそも知られていないのです。

 この答えは、勉強をすることで選択肢が広がるという点では現実主義的回答とも言えますが、なりたい自分になり楽しい人生を実現するという点では理想主義的回答と言うこともできるかもしれません。楽しく勉強して多くの選択肢を持ち、その結果、人生がさらに楽しくなる。素晴らしい循環ですね。

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