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「なんで勉強しないといけないの?」子どもに聞かれたときの“意外すぎる”理想の回答

『「しつけ」を科学的に分析してわかった小学生の子の学力を「ほめる・叱る」で伸ばすコツ』より#2

2021/04/12
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モチベーションにつながる二つの動機づけ

 さて、現実・理想の二つの回答ですが、これはモチベーションの科学における二つの動機づけ(行動の理由)に対応しています。それが、「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」です。

 外発的動機づけとは、自分の行動が外部(他人や環境)の報酬・命令によって生じている状態のことです。例えば、「次のテストで満点を取ったら、ゲームを買ってもらえるから勉強する」という子は、ゲームという報酬のために勉強をします。これは他人からゲームという報酬を与えられないと勉強しない、ということでもあります。

 目的はゲーム、勉強はあくまで手段です。目的が達成されたり、なくなったりしたら終わるものですね。「学歴を得るために勉強する」も、この外発的動機づけにあたります。目的は学歴ですから、受験が終わって目的が達成されたら終わり、ということも起こりがちです。

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 内発的動機づけとは、自分の行動が完全に自律的で、興味から生じている状態のことです。例えば、「新しい情報を得たい(知的好奇心)」「なぜなのか、物事のつながりを知りたい(理解欲求)」「前よりうまくなりたい(向上心)」などが、内発的動機づけに含まれます。いわゆる「動物博士」や「鉄道博士」のイメージです。好きで没頭した結果として知識が増えていき、「博士」と呼ばれるようになるわけですね。

 暇さえあれば本を読みたがる「本の虫」も、内発的動機づけで動いている例です。これらは行動それ自体が目的になっています。飽きてしまって終わることもありますが、興味が続く限りは際限なく行動を続けることが期待できます。