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2021/04/04

genre : エンタメ, 芸能

今では考えられないハプニングの数々を乗り切った“頼れる大人たち”

 1977年5月14日放送の探検コント「ドリフの地上最悪の山」での“火事”も有名だ。探検隊が射ったピストルの火薬がヘビの人形に飛び火して燃え上り、火事になった。会場内に非常ベルが鳴り響き、一時騒然となったが、スタッフが消火して事なきを得た。ここでは「探検はこれまでぇ!」のひと言でコントを中断させた長さんのリーダーたる英断がお見事だったが、観客の緊張をほぐすためか、志村さんは最後まで傍にあった動物の人形を小突くなどの細かいアドリブを披露していて微笑ましい。

©文藝春秋

 また別の回では志村さん・加トちゃんコンビで有名な「ヒゲダンス」で、いつものバックの赤レンガ壁が上から降りて来ず、バックバンドが丸見えのまま、ピストルで風船を割る芸が展開されたこともあった。全く動じずに粛々とコントを続けるお二人の姿に、今は笑うよりすっかり敬服してしまう。

 全くいい時代になったもので、これらはDVDやオン・デマンド動画で気軽に観られるので、興味を持たれた方はぜひ。

数々の“あり得ない”を乗り切った人間力

「今じゃ絶対あり得ない」という驚きと同時に、これらあり得ないハプニングの数々を乗り切った長さん、志村さんをはじめドリフ、ゲスト、スタッフたち。さらに観客のみなさんに至るまで惜しみない拍手を贈りたくなってしまうし、番組の座長たるザ・ドリフターズには“どんなハプニングにも冷静に対処する立派な大人像”を感じてならない。セキュリティやコンプライアンスばかりが叫ばれる昨今だが、『全員集合』を観直してやはりそれらも“人間力”次第と痛感した。“頼れる大人たち”がいて、初めて為し得る“あり得ない”の数々だったのだ。

©文藝春秋

 最後に、こんなことを書くのはバカげたことだし、幼稚極まりないとは思うが……1年前の志村さんの訃報が、「民宿コント」での加トちゃんのアドリブ的ジョークであって欲しいと改めて切に思ってしまった。やはり志村さんのいない隙間は埋まらない。だからこそ思い出し、語り続けるしかない。志村さん、あなたのことは死ぬまで忘れられません。だから自分が死ぬまで、語り続けさせてください。一周忌を迎え、改めてご冥福をお祈りします。

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