新人賞に応募してたときが一番楽しかった
今村 へぇ~。川越さんは最初から松本清張賞に応募したんですか?
川越 はい。なんとか2回目で受賞しました。僕も賞金の高さはちょっと考えてましたね(笑)。
今村 松本清張賞はプロも応募できる賞やから難しそうって考えてましたね。僕は比較的、受賞できそうな新人賞に応募しようって考えてた気がする(笑)。
天野 そもそも、我々みたいに歴史小説でデビューしちゃうと、歴史小説以外を書きづらくなってますよね。僕はデビュー2作目、現代音楽ものをやりたいと言ったんだけど、まったく書かせてもらえなかった。
今村 そうなんですか? やっぱり歴史小説家と呼ばれてしまうと、歴史小説から離れにくくなるんかなあ。
天野 デビュー作が歴史音楽小説だったんで、現代音楽もありだろうと思ったんですけど(笑)。
今村 もし現代ものを書くとすれば、ペンネームを変えて、もう一回新人賞に応募したほうがいいのかも(笑)。
澤田 プロフィールを提出しなければいけないからバレるんじゃない?
武川 電話番号も普段と違う番号を用意しなければいけないでしょうね。電話するときに「あれ、今村翔吾さんの電話番号と同じじゃない?」ってバレそう。
今村 まあ、クリアーしなきゃいけないことは色々あるだろうけど、やってみたい気持ちはありますね。思い返すと、新人賞に応募してたときが一番楽しかったんじゃないかという思いもあって。
谷津 一番自由にものが書けた時期ですよね。
今村 一回、今日参加したメンバー、全員うまいこと別のプロフィール作って、現代ものか、純文学で新人賞に応募してみない?(笑) 全員で一回新しいジャンルに挑戦してみる。「イェーイ! 俺二次まで残ったぞ。えっ、一次で落ちたん?」とか言い合って。
木下 僕は現代もので新人賞に応募したことがあるので、やるなら純文学がいいですね(笑)。
今村 やろうや。ちょっと落ち着いたら、決戦・関ヶ原の日を決めよう!(笑)
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初出:オール讀物2020年12月号