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「毎年元日に読む」「身分の低い忍びが…」「ミュージシャンも1stアルバムが一番いい」若手実力派が真剣に選んだGWに読みたい“偏愛”小説と作家デビューまでの道のり

天野純希×今村翔吾×川越宗一×木下昌輝×澤田瞳子×武川佑×谷津矢車 #2

source : オール讀物 2020年12月号

genre : エンタメ, 読書, 歴史

note

新人賞に応募してたときが一番楽しかった

今村 へぇ~。川越さんは最初から松本清張賞に応募したんですか?

川越 はい。なんとか2回目で受賞しました。僕も賞金の高さはちょっと考えてましたね(笑)。

今村 松本清張賞はプロも応募できる賞やから難しそうって考えてましたね。僕は比較的、受賞できそうな新人賞に応募しようって考えてた気がする(笑)。

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天野 そもそも、我々みたいに歴史小説でデビューしちゃうと、歴史小説以外を書きづらくなってますよね。僕はデビュー2作目、現代音楽ものをやりたいと言ったんだけど、まったく書かせてもらえなかった。

今村 そうなんですか? やっぱり歴史小説家と呼ばれてしまうと、歴史小説から離れにくくなるんかなあ。

天野 デビュー作が歴史音楽小説だったんで、現代音楽もありだろうと思ったんですけど(笑)。

今村 もし現代ものを書くとすれば、ペンネームを変えて、もう一回新人賞に応募したほうがいいのかも(笑)。

澤田 プロフィールを提出しなければいけないからバレるんじゃない?

武川 電話番号も普段と違う番号を用意しなければいけないでしょうね。電話するときに「あれ、今村翔吾さんの電話番号と同じじゃない?」ってバレそう。

今村 まあ、クリアーしなきゃいけないことは色々あるだろうけど、やってみたい気持ちはありますね。思い返すと、新人賞に応募してたときが一番楽しかったんじゃないかという思いもあって。

谷津 一番自由にものが書けた時期ですよね。

谷津矢車 やつやぐるま
1986年東京都生まれ。2012年「蒲生の記」で歴史群像大賞優秀賞受賞。18年『おもちゃ絵芳藤』で歴史時代作家クラブ賞作品賞受賞。

今村 一回、今日参加したメンバー、全員うまいこと別のプロフィール作って、現代ものか、純文学で新人賞に応募してみない?(笑) 全員で一回新しいジャンルに挑戦してみる。「イェーイ! 俺二次まで残ったぞ。えっ、一次で落ちたん?」とか言い合って。

木下 僕は現代もので新人賞に応募したことがあるので、やるなら純文学がいいですね(笑)。

今村 やろうや。ちょっと落ち着いたら、決戦・関ヶ原の日を決めよう!(笑)

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※この大座談会に参加した7名の歴史作家が勧める、(1)初心者にお勧めの短篇、(2)ビジネスに役立つ歴史小説、(3)自身が偏愛してきた作品について、文庫を中心に販売する歴史時代小説フェアが、紀伊國屋書店小田急町田店、吉祥寺店、国分寺店などで開催中です(緊急事態宣言中は休業)。

初出:オール讀物2020年12月号

オール讀物2020年12月号

 

文藝春秋

2020年11月21日 発売

オール讀物2021年5月号

 

文藝春秋

2021年4月22日 発売

 

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