ステイホームのGWこそが、歴史時代小説という知的な「武器」を手に入れる大チャンス! その道標として、いま最も注目を集める気鋭の歴史小説家7人が「初心者にお勧めの短篇」「ビジネスに役立つ歴史小説」「自身が偏愛してきた作品」などを縦横無尽にご案内します。お話いただいたのは、谷津矢車さん、武川佑さん、澤田瞳子さん、木下昌輝さん、川越宗一さん、今村翔吾さん、天野純希さんの7名です。(全4回の3回目。12回目を読む)

紀伊国屋書店で行われた歴史時代小説フェア

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ゲーム『信長の野望』の洗礼を受けて

――皆さんは年齢、キャリアとも近いですが、同世代だからこそ意識される部分はありますか?

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天野 もちろんどんな作品を書いているかとか、意識もしますけど、第一に「やっと同世代の人たちがいるようになった」という思いのほうが強いですね。この中では僕が一番デビューしたのが早いわけですけど、当時は同世代の人が全然いなかったので。

谷津 年齢は僕が一番下なんですけど、20代でデビューしたので、もう小説家生活8年目なんです。デビュー時は周りに20代がいなかったので、だいぶ寂しい思いもしましたが、最近は20代の歴史小説家もどんどん出てくるようになりました。やはり若い人が入ってきて切磋琢磨できる環境というのはとても嬉しいです。

澤田 歴史小説は、どうしても女性の作家が少ないですよね。先日、唐の時代を描いた震雷の人』(文藝春秋)で松本清張賞を受賞されたのが女性の千葉ともこさんなので、すごく嬉しいニュースでした。あと、千葉さんも含めて、最近の新人の方は、いままでの歴史小説が扱っていないところに手を伸ばされる印象があります。

『震雷の人』(千葉ともこ)

谷津 加えて、古い作品をきちんと咀嚼したうえで、自分なりに新しい花を咲かせる人が多いですよね。

武川 やっぱり歴史小説を書いて新人賞に応募される方って男性が多いんですかね?

今村 歴史に限定したら男性のほうが多いんじゃないかな。

武川 女性の場合、歴史小説ではなく時代小説を書く方が多い気がする。どうしてなんでしょうね?

天野 女子はゲームの『信長の野望』はやらないからじゃない?(笑)

今村 たしかに。歴史もののゲームをやっても、もう少しキラキラした世界観の『戦国BASARA』にいきそう。みんな、『信長の野望』はやってた?

木下 やってました!

今村 『信長の野望』をプレイすると、史実として正しいかではない部分で、みんなが何を求めてるか分かるんですよ。たとえば上杉謙信はゲーム内でめちゃくちゃ強いから、「ああ、謙信に対してこういうイメージを持ってるんだな」って。

天野 今川氏真は使えないとかね(笑)。