ステイホームのGWこそが、歴史時代小説という知的な「武器」を手に入れる大チャンス! その道標として、いま最も注目を集める気鋭の歴史小説家7人が「初心者にお勧めの短篇」「ビジネスに役立つ歴史小説」「自身が偏愛してきた作品」などを縦横無尽にご案内します。お話いただいたのは、谷津矢車さん、武川佑さん、澤田瞳子さん、木下昌輝さん、川越宗一さん、今村翔吾さん、天野純希さんの7名です。(全4回の4回目。1、2、3回目を読む)
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今後は何を書きたいか? 何を書くべきか?
今村 なるほど。せっかく歴史小説家が7人も集まったんだから、ネタかぶりを防ぐためにも、まだ書いてないけど、今後書きたいと考えてるネタを披露しあえへん?
天野 いいね(笑)。やりましょう。
今村 まずは言い出しっぺの僕から。楠木正行と後村上天皇です。
武川 いいな~。
川越 面白そう。
今村 南朝の二代目たちの話ですね。勝負作になるような気がする。それこそ、天皇家に切り込む話にもなるから……。
天野 そのあたりがすごく難しいよね。
今村 うん。でも、プロットはOKが出たから、執筆開始がいつになるかわからんけど、絶対に書きます。あとはいつか“今村『西遊記』”と呼ばれるようなものを書きたい。北方謙三さんの水滸伝が、“北方『水滸伝』”と言われるように。
澤田 それは壮大ですね。私も将来的には、“澤田版『平家物語』”になるような大長編を書きたいと思ってます。ただ、現状決まっているものとなると、江戸時代初期の僧で、明朝の禅を日本に伝えた、隠元隆琦ですね。江戸初期の天皇家と幕府側の争いを、外国人である隠元から見た物語にしようかと。
天野 僕はチンギス・ハンの時代に大陸に渡った日本人の四代記を構想しています。最初の主人公が大陸に渡った後、モンゴルがどんどん大きくなっていくんですけど、中東、ヨーロッパを経て、四代目は元寇で日本に帰ってくるという流れを考えてます。
武川 上杉謙信を書きたいです。それも、一般的にイメージされる、「義」の人ではなく、酒乱でやりたい放題やってる謙信を書きたくて。ミクロ派な私ですけど(笑)、ちょっとメジャーな題材を扱おうかと。