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澤田 上杉謙信って、メジャーな武将なのに、そんなに小説で多く書かれてないですよね。

今村 前に武川さんと電話で話してて、「メジャーどころを書かないと、編集者さんが泣くで」って言ったんです。「毛利はどう?」「上杉はどう?」とかしつこく話して(笑)。

武川 その話を聞いて、上杉謙信を書きたいって思うようになりました。

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木下 次作は一休宗純を書こうと思ってます。一休さんから見た室町時代ですね。僕自身、中世のおかしな風習にすごく興味があるんです。室町6代目将軍・義教はくじ引きで将軍になったわけですけど、そういうのを一休さんが見たらどう感じるのかとか。

 

今村 ありそうでなかった話かも。

川越 企画力が違いますね……。僕がいつか書きたいのは、中米のハイチの話です。ハイチって黒人が独立して建国したんですが、めちゃくちゃ早い時期に憲法も作っていて。それを嫌がったナポレオンが軍隊をハイチに送ったところ、なんとハイチはナポレオンの軍隊を破るんですよ。

今村 ナポレオンって、ナポレオン3世?

川越 いや、18世紀に生まれたナポレオン・ボナパルトです。

今村 川越さんのネタこそ絶対に誰ともかぶらへんな(笑)。

令和の歴史小説の範囲はどこへ――

谷津 最後は僕ですね。決まっている題材がいくつかあります。近代ものだと、二・二六事件を今までとは違う切り取り方をしようと考えてます。一般的にあの事件は、皇道派と統制派の対立と言われていますが、これは後世作り上げられた構図ではないかと。それを取り去ると新しい姿が見えてくると思います。あとは、新田義貞、箱館戦争についても構想しています。

澤田 令和になって、明治、大正時代がちょっと書きやすくなった感じがします。それこそ、第二次世界大戦も含めて、少し客観視できるようになってきた雰囲気があって。そういう意味で、歴史小説を書ける土壌が増えてきたのは嬉しいですね。