一方で、女性が特定の支援者に依存してしまうと、次の支援につながらないというジレンマもあるという。
坂本「私とつながるのはよいのですが、「私としかつながれない」ことになってしまうと、他の団体や窓口とつながれなくなってしまう。お互いに依存しあうような共依存関係になってしまってはいけないし、支援されることが当たり前になってしまってもいけない。
必要なことは、当事者が自分の力で生きていけるようになるまでの、もしくはマイナスをゼロに戻すまでの、しばしの並走です。並走が終わった後に、いかにしてうまくリリースするかも大きな課題になります」
路上での直引き売春や性風俗をはじめ、既存の制度や支援が届きづらい領域では、当事者と支援者が個人的な信頼関係でしかつながれないゆえに、共依存が起こりやすい。
複雑な事情と課題を持った当事者の支援を一人で丸抱えしてしまった結果、支援者が精神的に潰れてしまうこともある。
自分で声を上げられない当事者には、支援者から声をかけるしかない。そうした一方通行の関係性の中で、「彼女たちの存在に気づき、問題を解決できるのは自分だけ」「彼女たちのことを代弁できるのは、自分たちだけ」と思い込んでしまい、他の支援団体や行政に対して、「そのやり方は間違っている」「当事者の気持ちを分かっていない」という批判を繰り返すようになる支援者もいる。
支援団体間や行政との連携ができず、それぞれがバラバラに動いて、当事者の丸抱えやお互いの批判を繰り返すだけでは、いつまで経っても課題は解決しない。
あくまで「しばしの並走」であることを理解した上で、その後に「いかにしてうまくリリースするか」は、当事者にとっても、支援者にとっても、重要な課題であることは間違いない。