松永は十分な栄養を与えていたと主張したが・・・
〈松永は、公判廷で、「平成7年8月か9月ころから由紀夫が死亡するまでの間、同年10月末から11月5日までの間を除いて、由紀夫に対し、カロリーメイトを与えた。由紀夫と同居するようになってからは、由紀夫に対し、被告人らと同様に、めん類や100円のレトルトカレー等を食べさせたが、由紀夫が『宮崎さん(松永の偽名)たちが食べているような物は健康によくない。そんなんでよく生きていけますね。』、『豚みたいになってもいいから、栄養のある物を食べさせてくれ。』などと食事に不満を言うようになったので、平成7年8月か9月ころから栄養のあるバランスの良い食事として、由紀夫にカロリーメイトを与えるようになった。平成7年10月末ころ、由紀夫は同居当初に比べて10キロくらい痩せた状態だったが、松永は、由紀夫に対し、『カロリーメイトは金がかかるし、このままカロリーメイトを食べ続けたらまた太り出すので、もうやめておいた方がいい。』などと言い、由紀夫に納得させて、一旦は由紀夫にカロリーメイトを与えるのをやめた。しかし、由紀夫は、被告人らと同じ食事をするようになると、『うどんやご飯だけなど食べられない。太ってもいいからカロリーメイトがいい。』などと不満を言うようになったので、松永は、平成7年11月5日から、由紀夫に対し、再びカロリーメイトを与えるようになった〉
こうした内容を松永は公判で主張。由紀夫さんに対し、カロリーメイトに限らず、牛乳や砂糖、レバンコンク(滋養強壮剤)、バナナ、酒のつまみ、ビタミン剤を与えたとしている。とくに同年11月頃から由紀夫さんが死亡するまでの間について、松永は「『栄養満点スペシャルメニュー』と称して、1日当たりカロリーメイト3、4箱分、バナナ2、3本、牛乳300cc、砂糖大さじ2杯、レバンコンクキャップ1杯分を丼に入れて与えた」と供述するなど、由紀夫さんに十分な栄養を与えていたことを強調した。
しかし、公判で清美さんは「時期はよく覚えていないが、松永が由紀夫にカロリーメイトを与えたことを1回だけ覚えている」としたものの、松永が主張する「栄養満点スペシャルメニュー」なるものを、由紀夫さんに与えたことはないと供述した。
そうした証拠などの結果、判決文では由紀夫さんへの食事制限について、〈松永の公判供述は信用することができない〉と結論付けられたのだった。