4月5日、文藝春秋の社屋に1人の女性が訪れた。ニットを着てリュックサックを背負ったカジュアルな装いだった。化粧っ気はなく、憔悴して見える。
彼女は、“白スーツの男”倉科氏や“自称・片岡愛之助の愛人”Y子氏とともに、女性らを交際クラブに斡旋していたX子氏である(「“パパ活感覚”は危険 超高級交際クラブの甘いワナ」#1、#2、#3)。
X子氏のTwitterアカウントには、《業界トップ交際クラブで現在No.1》《月100のp2人いるから最低でも月200以上安定してるし会うのも月1回~2回くらいだから本当に楽》など、“パパ活”で大金を稼いでいることをアピールする内容が投稿されていた。
「一晩で100万円が貰えるレベルの女性に育てる」
A子さんやB子さん、C子さんの証言によると、X子氏はこうした“甘言”を用いて友人関係やTwitterから交際クラブへの入会希望女性を募り、倉科氏らとの面接をセッティングしてきたという。
面接では主に倉科氏が、一晩で100万円が貰えるという超高級交際クラブ「P」の存在をちらつかせ、女性らに「それに見合うレベルの女性に育てるから」と豪語。複数の交際クラブに斡旋する代わりに、女性が年間12万円+成功報酬(交際クラブの男性会員から得たお手当の30%)を支払うといった契約を持ち掛けていた。
面接の後には倉科氏による“性的な講習”があり、#1で告発したA子さんによると「倉科さんの指示で、X子さんとも一緒に性行為をした。『X子と2人でプレイをしろ』とも言われました」という。(全4回の4回目。#1から読む)
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取材後に《大騒ぎになるぞ。100万振り込んでくれ》
X子氏はタレントとして芸能事務所に所属していたため、取材班は倉科氏らによる“交際クラブ斡旋契約”や“性的な講習”について、所属事務所に事実確認のため問い合わせをした。すると、担当者は焦ったようにこう回答したのだ。
「X子からすべて話を聞きました。うちのX子も被害者の1人なんです。止めたかったが、倉科氏が怖くて止められなかった。本人が事情を話すと言っています」
そして数日後、冒頭のシーンのように、X子氏がやってきたのだ。X子氏は会議室で記者を前にすると、その重い口を開いた。
「3月31日、倉科さんから《文春から連絡あり》というLINEがありました。その日の夜に倉科さんと電話をすると『誰に何を聞かれても知らないと言え』『警察の認可を受けているからな』と何回も何回も繰り返し言われたんです。そのときに『私がやっていたことはやっぱり悪いことだったんだ』とやっと分かりました。それで、事務所にすべてを打ち明けようと思っていると倉科さんに伝えました」
しかし、その言葉に倉科氏は激昂したという。
「『お前がやろうとしていることは営業妨害だ』『こちらは君のせいで大赤字だ。申し訳ないと思わないのか?』と怒鳴られました。しかも『責任を取って、少しはお金を払ってもらう』とも言われた。そこで電話が切れたのですが、またすぐにかかってきて『今すぐ100万円を振り込め』と言われました。LINEでも《振り込みしたら、連絡ください》《振り込みは、今日中に、お願いいたします》《Y子が、怒ってます》とメッセージが立て続けに送られてきたんです。それで、怖くなってしまって……」
X子氏は声を詰まらせた。そして倉科氏からの恫喝電話の後、涙ながらに事務所にこれまであったことをすべて話したのだという。事務所側から「今後も被害が広がる恐れがあるから、文春オンラインですべてを話したほうがいい」とアドバイスされたこともあり、今回の取材に応じたようだ。