倉科氏とY子氏の正体「2人はいつも一緒だった」
「倉科さんの年齢は私が聞いた限りでは60代。会う時には必ず白スーツや、白ニットにパンツなど全身真っ白の洋服に、金時計や金のネックレスをつけていました。仕事は横浜のカジノの仕事に携わっていて、コロナがなければ1年の半分は海外で仕事をしているとか、過去には銀座の黒服をしていてバーも経営したことがあるといったことも話していました。
28年前に交際クラブの仕組みを仲間4人と作り、『現在の交際クラブの経営者は全員俺の後輩だ』と言っていました。超高級交際クラブ『P』は横浜のカジノに遊びにくる富裕層向けに作ったと言っていましたが、会員になれた女の子もいませんし、ホームページもないので本当に存在するのかどうか……。心理学を学んでいると自慢げに話していたこともありました」
しかし前回記事で交際クラブに確認したところ、倉科氏の存在を知る交際クラブはなかった(#2参照)。Y子氏とはプライベートについて話したことはほとんどなく、彼女の素性もわからないという。
「ただ、面接などで会う時には必ず倉科さんY子さんは一緒に来て、一緒に帰って行きました。実際はどういう関係だったかはわかりませんが、お互いに信用し合っているように感じました」
最後にX子氏はこうも語った。
「『違法なのではないか』という不安から、このことを周囲に相談できず、これまで1人で抱えてきてしまいました。どうしていいかわからずに、倉科さんの言いなりになってしまった。それによって辛い思いをさせてしまった女性たちには、本当に申し訳なく思っています。せめて、これ以上被害者が出ないように、全てをお話させていただきました」
取材中、X子氏は終始暗い表情のままだった。
“パパ活”でのトラブルは
アトム市川船橋法律事務所の高橋裕樹弁護士は、倉科氏の行為について「恐喝罪と準強制性交等罪に当たる可能性がある」と話す。
「前回もお話しましたが、講習などと称してホテルへ呼び、相手が断りづらい状況下で肉体関係を持つことは刑法第178条の『人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者』として準強制性交等罪に当たる可能性はあります。有罪の場合は、5年以上20年以下の懲役が課せられます
また、面接で金を支払わなければ帰れない状況を作り出し、契約を結ばせることは恐喝罪に当たる可能性があり、支払わずに断れた場合でも、恐喝未遂に当たる可能性があります。有罪の場合は10年以下の懲役です。
X子氏も恐喝罪や準強制性交等罪の共犯者(幇助犯)となる可能性があります。一方で、X子氏も倉科氏に逆らえなかったという状況であったことなどを勘案すると、認めて全体的に素直に話せば、起訴されないという可能性もあります」
X子氏がこれまで誰にも相談することができなかったのは、倉科氏らへの恐怖はもちろんのこと、売春行為もある“パパ活”に加担している後ろめたさが働いたこともあっただろう。
「売買春の現場で性行為に及ぶ際、本番行為を強要されたり、拒否する女性を強姦する、また女性が男性を嵌める美人局などの事件は増えています。この背景には、法の網の目を潜り抜けて売買春を行うための“パパ活アプリ”などが増え、売買春が気軽に行われるようになってしまっていることもあるでしょう。
トラブルが増加する一方で、売買春をしているという罪の意識から、被害に遭っても声を上げられないという被害者は多い。“パパ活”はとても危険です」(同前)
“パパ活”で大金を稼ごうとする女性の周辺には有象無象の輩が集まって、搾取する隙を狙っているのだ。
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4月18日(日)21時~の「文春オンラインTV」では担当記者が本件について詳しく解説する。