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警察での最初の取り調べ

 これから調べが始まります。

 私は24日から26日までの間に2時間程マンガ喫茶で横になっただけですので満身創痍だったのですが、警察は寝かせないように嫌がらせをしてきます。

 目を閉じればとなりの部屋から壁を叩き、寄りかかると机を動かしてきます。はじめに「黙秘します」と伝えましたが、それは「とにかく寝かせてほしい」という意味でした。

 机にふせて少し眠ると大分楽になりました。

 そこで第一に、遺族の皆様に対して謝罪の言葉をお伝えしました。

 心失者(*1)を殺すことは人類にとって正しい判断ですが、それまで人生の多くを費やしてきた家族を、ふいに奪われては遺族の心を傷つけると考えました。

 とは言え、心失者を認める理由はひとつもありません。

 人の役に立ちたいと想う心が人間の証しであると考え、「障害者」と「心失者」の区分を明確にすることが、私の役目と考えております。

*1 植松の造語。しんしつしゃ。人の心を失った者という意味で、主に「意思疎通の取れない重度障害者」を指すという

「心失者」を表現したというイラスト イラスト=神奈川新聞社提供

逮捕翌日の送検時の心境

 朝起きると「今日は検察庁に行くから、外にはカメラが来ているよ」と言われましたが、私は上衣で顔を隠すつもりでいました。

 なぜなら逮捕前ツイッターに出した写真は格好良く(私なりに)撮れた物でしたので、今はボロボロにむくんでいるし、髪はセットしていません。

 しかし、考えれば夏場に上衣はありません。イメージと違いましたが、すぐに車は走り出した為にとりあえず顔をうずめることにしました。

警察署から車が出るとすごい数のシャッター音が聞こえます。窓ガラスはスモークですが、おかまいなしに全てが照らされています。

 私は、観たことのない世界に対する好奇心から、顔をあげてしまいました。

 バャッシャャーー!!

 と、目の前は光しかみえなくなりました。衝撃的な光を浴びた後は、人の大波が突撃してきます。鬼の形相でカメラを叩きつけるように押しつけていますが、その表情は車に体当たりする恐怖よりも、写真を絶対に撮る気概がありました。

横浜地検から捜査本部のある神奈川県警津久井署に戻った植松聖容疑者 ©時事通信社

 私は自分の行為に反省すべき点(安楽死でなかった)はありますが、罪の意識はありません。とは言え、殺人罪で送検されているのに笑顔は不謹慎だろう。

 これからどんな試練にも負けるわけにはいかない様々な感情の中で過ぎた数十秒は、我ながらゾッとするような表情を世に晒すことになりました。