植松が記者に送ったそのほかのイラスト
人物画と独居房の机上(18年12月23日)
映画「ローマの休日」で知られる女優オードリー・ヘプバーン、カナダ出身の人気歌手ジャスティン・ビーバー、理論物理学者アルバート・アインシュタイン、自身が生活する独居房の机上を描いた画。鉛筆とボールペンを使って描かれていた。
接見時、植松から「世界一格好いい男と、世界一の美女を描きたい」というリクエストがあり、世界一格好いい男は指名されたが、世界一の美女については記者に任され、それぞれの画像のコピーを郵送した。
イラストが同封された手紙には「美女を選ぶなら彼女で間違いございません。綺麗なコピーを頂けた御陰ですぐに似顔絵を描くことができました」とあった。
特に、ジャスティン・ビーバーについては、後日の接見で「うまく描けたと思う」と自賛した。
独居房の机上は、勾留生活の一端を知るために記者からリクエストした。木製の机にやかんと鉛筆、鉛筆削りが描かれている。
観音像(19年1月31日)
頭部に11の顔を持つ菩薩「十一面観音」。支援者から差入れられたコピーを参考に色鉛筆で描いたといい、「格好いいから、以前から描いてみたかった。それ以外の理由はない」と植松。背景はさまざまなモチーフを独自に組み合わせて描いたという。
色の塗られていない観音像は描き直し以前のもので「失敗作」。後日送られてきた手紙には「さっそく色塗りを始めたのですが、沢山の間違いに気づいてしまいました」と理由が添えられていた。
「不動心」(18年11月14日)
イラストが作品の大半を占める中、唯一送られてきた書。筆ペンで「不動心」と書いた。赤いボールペンで、右上に「植松」、左下に「聖」の落款(らっかん)を表現したという。
この文字を選んだ理由を尋ねると、「格好いいと思う言葉だから」。「聖」の落款が顔のように見えるという記者の指摘には「意識しているわけではないが、元々、表情のように見えますよね」と笑顔で応じた。「あまりうまくない」として、公開には消極的だった。
【前編を読む】「こいつら、生きていてもしょうがない」 4年の取材と37回の接見で見えてきた“植松聖死刑囚”の実像とは