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第二のターゲットは女性

 直後、李が大阪を経由して韓国に逃亡したため、第2の犯行は澤地と不動産業者の2人で行うことになる。ターゲットは、澤地が200万円を借りて、厳しく取り立てられて来た金貸しの女性(61歳)だった。

 不動産業者が今度は千葉県我孫子市の土地所有者に扮し、土地を担保に女性から3000万円借りる話を取り付けた。澤地は車に乗り、約束の午後1時に埼玉県上尾市のマンションへ女性を迎えに行った。助手席に女性を乗せ、土地所有者に扮した不動産業者が途中で後部座席に乗り込み、我孫子市へ向かった。

 2人は、どのようにして女性を殺害するか決めていなかった。1時間走り、女性がウトウトしはじめると、澤地が不動産業者へ視線を送った。それを殺しの合図だと思った不動産業者が、準備していた白いロープで後ろから女性の首を絞めたため、澤地は慌てて左手で女性を押さえて加勢した。

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「手がしびれた、代わってくれ!」と不動産業者が叫ぶと、澤地が代わって左手で首を圧迫し、右手で鼻と口をふさいだ。女性が動かなくなった後、車のトランクに入れて山中湖の別荘へ向かった。

 午後5時頃、別荘に着いてトランクを開けると「イーヒイ、イーヒイ」と女性が呼吸していた。澤地は冷や汗を感じたが、右手で鼻と口をふさいで左手で首を絞めた。女性の顔も首も汗でベトベトだった。生きていた証だと、澤地は怖ろしくなったが、遺体を床下に埋めて現金を確認した時には、自分の顔が微笑んでいるのが分かった。