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科学的に証明された“脳汁”の正体…大人気パチンコ・海物語は「演出の信頼度が40%っていうのが絶妙」

『パチンコ崩壊論』より #2

篠原 本当は、確かに出てるというよりも、出るに決まってるじゃんと思った。

一同 (笑)

ヤング じゃあ研究しようと思ったきっかけは、ガイドの「脳汁」って言葉がきっかけ?

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篠原 そう。だから「脳汁」のままでいいんだけど、「脳汁」を実際の脳科学用語ではこういう物質ですよとか、その出方はこうなってますよ、とかね。そういうのが理論化できれば面白いなと思って。

大崎 それまで先生は趣味というか稼ぐためにパチンコやってたけど、業界との接点はなかったんでしょう?

篠原 ないよ。でも、その研究をやって発表したら、やたら講演会で話してくれとか言われてさ。そうこうしてたら日遊協の専門委員かなんかが飲酒運転事故を起こして、枠が空いてるから推薦したいって言われて。

ヤング その研究の話をもうちょっと聞きたいんですけど、いわゆる「脳汁」を学者仲間と調べようってなったときに、具体的にはどういう研究をしたんですか?

篠原 基本的には「汁」が出るかを調べるんだけど、「汁」の出方にも差があるとかが議論できたらもっといいじゃない。だからそもそもパチンコやる人がどれくらいハマっているかとか、年中来てるかとかね。そういうのが因子になる可能性があるから、まずは観察する必要がある。だからパチンコ屋に通って、あの人いつも来てるなとか、客の動向を観察しつつ……。

ヤング 確か打ってる人の血液検査とかもしてましたよね?

篠原 それは三法活栓と言って、血管に針を入れて、パチンコ屋に入る前、大当り前、大当りした30分後、そうやって時系列的に採血するの。でも、ベータエンドルフィン(*8)って不安定なものだから、すぐ遠心分離機(*9)にかけなきゃいけないんだよ。だから、パチンコ屋のカウンターの横に遠心分離機を置いといて、血を抜いたらそこまでダッシュして(笑)。それでバーッと遠心分離かけて、分析会社に持っていって。

*8 ヒトには5つのエンドルフィンがあり、そのうちの一つ。がんの鎮痛剤として知られる「モルヒネ」と同じような作用をする物質

*9 遠心力を利用して比重差のあるものを分離させる機器。ちなみにネット通販でも販売されており、レビューには「血液を入れて白血球と赤血球を分けました!」など、日常品レビューではまず目にすることのない内容が並んでいました

大崎 そんなの、パチンコ屋さんがよく協力してくれましたよね。

篠原 常連だもん。

一同 (笑)

篠原 一応、学者としてはドーパミンとかエンドルフィンが出て……という研究をしたいんですって言わなくちゃいけないじゃん。でも、店から「ドーパミンってなんですか?」って聞かれて「覚醒剤みたいなもんです」って言ってもさ、そんなもんオッケーしてくれるわけないからさ。

一同 (笑)

篠原 ずっと断られ続けて、しょうがないからもう常連になるしかないじゃんって話になって(笑)。それで通っていたパチンコ屋に他の研究者の人にも通ってもらって、顔馴染みになって、「こういうのやりたいんだけど」って言ったら「どうぞ」って(笑)。