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科学的に証明された“脳汁”の正体…大人気パチンコ・海物語は「演出の信頼度が40%っていうのが絶妙」

『パチンコ崩壊論』より #2

note

ヤング 僕が先生の研究室に初めてお邪魔したときは、海物語が置いてあって、頭にプチプチしたものをつけて……。

篠原 ああ、脳の活動調べるやつね。

ヤング そのときに言われたのが「おまえ、さすがパチプロだな。台の前に座っただけで落ち着いちゃってるじゃん」みたいなこと言われたんですよ。何の波形を見たのかわかんないけど。あと、その時に先生が言ってたのは、「あぁ、パチンコ行きたい」って思っただけで「脳汁」は出ると。

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テレビ番組の企画でヤングが篠原先生の研究室で脳活動を測定されている様子 筆者提供

篠原 それは関連刺激っていうんだけどさ、例えば「GOGOランプ(*10)」や「パトランプ(*11)」が光ったりすると、ちょっと汁出るじゃない。でも、そのランプの意味を知らないやつは、汁なんか出るわけがない。逆にジャグラーが好きなヤツが、ほかのただのゲーム上のスロットもどきをやっても面白いと感じることはなくて、ドーパミン系も活動するわけない。それをもって依存の脳活動だって言いやがるから。それは嘘だろって話なんだよ。

一同 ふむふむ。

*10 パチスロ機「ジャグラー」の大当りを知らせるランプ。GOGOランプが光ることを「ペカる」と表現することが多い。この注釈で皆さんの知識の足しになるような情報などありません!

*11 パトカーなどの緊急車両に取り付けられている赤いランプのこと。しかしここでは言うまでもなく、パチンコ演出で大当り時に光るランプ演出のことを指している。ちなみに映画泥棒を取り締まるキャラクター「パトランプ男」には公式ツイッターアカウントがあり、スマホゲームとのコラボなどのバリバリ企業案件をこなしているようだ。パチンコユーザーにとっては関係ない話だが……

篠原 なぜそんな言い方ができるかっていうと、ギャンブル障害の人とギャンブル障害じゃない人を連れてきて、キリン柄(*12)を見せるとどうなるか?とかやるわけ。そんなもん差が出るに決まってるじゃん。そこでドーパミン神経系がおかしくなってる……みたいな話になるんだけどさ、それはおかしいんじゃないかって。鬼滅にハマってれば鬼滅に関連したものを見たらそうなるだけの話だから。

*12 Sammy機種の激アツ柄。パチンコユーザーなら、この柄を見るのと同時に効果音を脳内に響き渡らせることができるだろう。テレビの動物番組でキリンを見た際、「あ、激アツ……」と思ったら自身のギャンブル依存症を疑いましょう

ヤング 黒と緑の市松模様を見ただけで……。

篠原 そう、鬼滅にハマってるヤツは市松柄見たら当然「おっ!」ってなるだろって話。問題はそういう状況が長期にわたるのか、生活に支障が出るのかって話。問題を起こしたり、支障が出たりするようになるためには素質が必要で、やたら衝動性が高いとか、協調性がないとかって話になりますよってこと。

大崎 先生の話を聞いてると、パチンコに同情的ってわけでもないですよね。だから逆に信用できる。

演出とドーパミンの問題

ヤング 最近もパチンコ打ってます?

篠原 打ってるよ。機種ごとの演出によってドーパミンの出方がどう違うかっていう研究してるからね。どうしてそんなことをやるかっていうと、射幸性の話で、出玉の出方による影響がないって話をしたでしょ。おそらく次は、演出による「あおり」が問題だって話が出てくる可能性があるのよ。というのは、ガチャ規制問題(*13)とかが出てきて。あれって結局ガチャみたいな演出が問題だって言ってるわけじゃん。いろんな「あおり」があるからだと。実際カジノでも、スロットに関して、先読み的な演出をやってはいけない、みたいな規制がいくつかある。そういうのがこっちに来る可能性もないわけじゃないから。だから、実際に「あおられてる」ときに、ドーパミン量がどれだけ増してるのかを調べてるの。

*13 多くのスマホゲームには、ゲーム内のキャラクターやカードを獲得するために、ガチャガチャの演出を採用している。そのため、確率通りに出ているのかという「景品表示法」における問題や、のめり込みで大量課金してしまう依存症に対する問題などが発生。現在も業界全体で規制する動きがある。オランダやベルギーなど「ガチャはギャンブルである」と認めている国もあるそうで、日本でもそうなればもっと規制が強化されることでしょう

大崎 それは興味深いなあ。じゃあ、どの台が一番ドーパミンが出るかってわかるわけでしょ?