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《田中邦衛さん追悼》知られざる元SMAP香取慎吾との絆「うるせぇ、黙ってろ、中居」

山形の人々との交友録

2021/04/22
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「邦衛さんは一般の人と一緒に風呂に入って食事をするんです」

 田中さんは山形をいたく気に入ったようで、それ以降、トークショーはのべ30回以上に及び、聞き手はすべて荒井さんだった。荒井さんがパーソナリティを務める山形のラジオ番組には合計で12〜13回出演。田中さんがメディアに姿を現さなくなった後も、荒井さんの番組だけは特別で、2013年に2回、2014年に2回出演している。

 旅番組『いい旅・夢気分』(テレビ東京系・2010年6月放送)にも2人で出演し、「田中邦衛が旅番組に出る」ということが話題になったことで、番組史上最高視聴率を取った。

山形市の馬見ヶ崎河川敷で行った芋煮会での田中さんと荒井さん(荒井幸博さん提供)

「山形を本当に気に入ってくれたんだと思います。邦衛さんは温泉が大好きで、山形には全部の市町村に温泉があるのに、そのほとんどを制覇しました。邦衛さんは周りからどう見られているかまったく無関心で、一般の人と一緒に風呂に入って食事をするんです。

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 邦衛さんは賭け事もゴルフもやらず、お酒もほとんど飲めなかった。でも、食べることが大好きで、本当によく食べました。山形に来たときは、普通に売っているきゅうりとかトマトとかでも、『ぅおいしいねぇ、ぅおいしいねぇ。こんなの東京じゃ食えねぇよぉ』って言いながら食べてくれる。それが嬉しくて、私は故郷に誇りを持てるようになったんです」

「おばあちゃんに近づいて『高倉健です』って(笑)」

 田中さんがそこまで山形に入れ込んだのは、山形の魅力だけでなく、荒井さんの人柄にも惹かれたということだろう。

「田中さんとは年が25歳離れていましたが、誕生日が同じ11月23日で、巡り合わせのようなものも感じましたね。横浜のご自宅にお邪魔することもあったのですが、横浜で一緒に歩いていると、親子に間違われることもありました。

2006年11月、小野川温泉寿宝園にて。誕生日が同じだった2人を仲間が祝福した(荒井幸博さん提供)

 邦衛さんは町ゆく人とも気軽にやりとりを交わすんですよ。邦衛さんと奥さんと私の3人で山形の町を歩いていたことがありました。中年のご婦人らがひそひそと『あの人、田中邦衛じゃない?』って話をしていると、自分から大股で近づいていって『あのぉ、ちょっとお願いがあるんですけどぉ。握手していただけますか? いやか?』って右手を差し出すんですよ。もちろん、ご婦人らは大喜びです。田んぼで農作業をしているおばあちゃんにも近づいていって握手して、『高倉健です』って(笑)」