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さまざまな有償ボランティア

「ボランティアはタダ」と思っている人は驚くだろうが、日本にも数多くの有償ボランティア団体がある。

 日本の主な有償ボランティア団体を挙げてみよう。

○青年海外協力隊

 

○国境なき医師団

 

○国連ボランティア

 

○国際交流基金

 

○国際ボランティアNGO 日本国際ワークキャンプセンター 中長期ボランティア ※申込み金はあるが、現地での宿泊・食費は現地NGO負担

 

○公益財団法人 オイスカ・インターナショナル 研修センターボランティア

 

○ 特定非営利活動法人地球緑化センター 「緑のふるさと協力隊」「若葉のふるさと協力隊」

 青年協力隊や国境なき医師団は専門知識が必要とされるのだから当然だ、と思うのであれば、五輪ボランティアの職種を見てほしい。そこには通訳や医療(医師・看護師・薬剤師)などの専門知識が必要な仕事がいくつもある。専門知識を要する他のボランティアであれば、なにがしかの対価(宿泊費・交通費・生活費)などが支給されるのが当然の仕事でも、五輪ボランティアでは無償になっている。これは明らかにおかしい。

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 2019年10月、私の元に一つの情報が届いた。コンビニエンスストアなどで配られている「タウンワーク」という人材情報誌に、「東京2020オリンピック・パラリンピックを支える仕事特集」と題され、人材派遣会社パソナが募集しているというのだ。実物を取り寄せてみてみると、確かに募集がある。採用期間は「2020年2月から9月までの期間限定」とし、「国際スポーツ大会でのイベントスタッフ」となぜか東京五輪の名前を伏せながら、8業種のアルバイトを募集している。8つの業種は、国際コミュニケーション、各競技会場運営など、ボランティアの募集種目と内容はほとんど変わらない。

 それまで組織委は「五輪を支えるのはボランティアだ」として、無償ボランティアを大々的に募集してきたにもかかわらず、どういうことなのか。同じ仕事内容にもかかわらず、ボランティアは何時間働いてもタダだが(交通費のみ1日1000円支給)、アルバイトは時給1600円とあり、1日働けば12000円近くになる。私はこの件について組織委に質問を送った。その顛末については、私の「note」をお読みいただきたい。

©️iStock.com

 東京オリンピックはボランティアのみならず問題が山積しているが、ボランティアは矛盾の縮図のように思える。私の書籍『ブラックボランティア』では、オリンピック貴族である組織委や電通、伴走する国内の大手メディア、搾取される善意のボランティアたち、その構図を浮き彫りにした。ご一読いただき、オリンピックというイベントの本質を考える一助としていただけたらとてもうれしく思う。

 東京オリンピックはボランティアのみならず、問題が山積している。

 最後に一つ付け加えるなら、酷暑の問題だ。みなさん、忘れているかもしれないが、東京の夏は本当に暑い。

 昨年、東京都では6~9月に熱中症で約5800人が救急搬送され、200人の方が亡くなった。

 コロナによる医療のひっ迫の中で、本当に安心安全な大会は可能なのか。組織委は真剣に、現実的に考えてほしい。

 熱中症の危険を負いながらの奉仕。ボランティアはやはり、矛盾の縮図なのだ。

【前編を読む】 「IOC」と「五輪貴族」を支える商業的システムの実態…日本が変えたオリンピックの“あるルール”とは

ブラックボランティア (角川新書)

本間 龍

KADOKAWA

2018年7月7日 発売