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快進撃・小山怜央アマの“竜王戦ドリーム” 将棋のプロとアマの実力差は、なぜ縮まったのか

快進撃・小山怜央アマの“竜王戦ドリーム” 将棋のプロとアマの実力差は、なぜ縮まったのか

竜王戦6組ランキング戦決勝進出をかけて、長谷部浩平四段と対局する

2021/04/27
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 また、1987年に週刊将棋が企画したアマプロ平手戦では小林庸俊さんが中田功四段、富岡英作五段、島朗六段、田丸昇七段(段位はいずれも当時、以下同)に連勝して、多大な注目を集めた。このまま勝ち進めば中原誠名人との平手戦も行われるのか!? ということまで取り沙汰されていた。次の南芳一八段がプロの意地を見せた為、中原-小林戦が行われることはなかったが、アマチュアが時のタイトル保持者と平手で戦う可能性が初めて出現した瞬間だったと言える。

 そして1987年に創設された竜王戦で、アマチュアの公式戦参加枠が復活した。1991年の第4期では天野高志さんが3連勝し、ランキング戦6組の準決勝に進出。丸山忠久四段に敗れて決勝進出はならなかったが、現在の小山さんと同様の活躍である。

2019年12月の竜王戦6組ランキング戦、対大平六段戦 ©相崎修司

公式戦で活躍したアマチュア棋士たち

 他棋戦でもアマチュアの参加枠は次第に増えていった。そしてアマがプロに連勝するのも珍しくはなくなっていた。天野さん以降のアマチュアの公式戦における活躍をいくつか列挙してみよう

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1、全日本プロ将棋トーナメントにおける山田敦幹さん

 朝日アマ名人として2000年の第19回全日本プロ将棋トーナメントに参加した山田敦幹さんは、中尾敏之四段、大内延介九段、屋敷伸之七段を連破。公式戦でアマチュアが九段を破ったのは、この時の山田さんが初の快挙である。4回戦で中座真四段に敗れたが、もし中座に勝っていれば次戦で羽生善治五冠との対局が実現していた。

2、朝日オープン将棋選手権におけるアマチュアの圧勝

 全日本プロ将棋トーナメントが朝日オープン将棋選手権に変更されたのが2001年。同時にアマチュアの参加枠が、それまでの2名から10名へと一挙に増加した。そして、2002年の同棋戦におけるプロアマ一斉対局でアマチュアが7勝3敗とプロ相手に大きく勝ち越した。その結果が以下の通りである。

吉澤大樹さん○―●高野秀行四段

金内辰明さん○―●伊奈祐介四段

藤井佳久さん○―●中尾敏之四段

木村秀利さん○―●安用寺孝功四段

加賀屋浩美さん○―●上野裕和四段

清水上徹さん○―●大平武洋四段

石井豊さん○―●熊坂学四段

中村清志さん●―○伊藤博文六段

山田敦幹さん●―○宮田敦史四段

深井一伸さん●―○村田智弘四段

 このうち、石井さんは以降も田丸昇八段、大野八一雄六段を連破して予選決勝へ進出したが、土佐浩司七段に敗れて予選突破はならなかった。