昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2021/04/28

 また想像するまでもなく、実際に火を使用することから事故も絶えない。SNS以降のコンプライアンスの時代にこうしたニュースが明るみに出るようになったことで、ファイアートーチそのものを世間が知るという皮肉な実情もある。組体操同様、廃止の動きも報じられるなか、火炎棒の代替品として浮上したのがほかでもないサイリウムスティックだった。文化的背景のまったく異なる双方がひとつになる予感すらさせられるのは、今日のダンス必修化の流れがあってのことだろうか。

ハロヲタから見るダンス風景

 Jダンスとはスター級のダンサーさえ語っていればいいというものではない。ダンス天国という楽園を手に入れるためには、むしろダンス素人をいかに取り込むかが鍵だったといえる。“ダンス素人”ということばが適切であるかはわからないが、そのような“未経験者”に目を向け、新規開拓の姿勢を取りつづけてきたことが本分野の裾野をひろげることになり、さらに今日のダンス戦国時代へとつながった。

 そしてそのような方向性はハロプロ、ハロヲタを輩出した制作現場の声と奇しくも重なる。ダンスが苦手だったモー娘。たちと、そこに群がるハロヲタが描く舞踊絵巻は、これまでのアイドルとファンが構築してきたような“距離間”では成しえなかっただろう。不即不離の絶妙な関係がもたらした賜物以外にない。

©getty

 このような光景に遭遇することは、たとえダンスに特化した世界でさえない。ダンスをライヴという形式で観覧させるには“ショー”と“コンテスト(バトル)”のふたつが考えられるが、いずれも観覧席にてステージと一体となって踊るようなことはない。