禹議員が「憤りを感じる」と紹介した発言は、『帝国の慰安婦』の著者の朴裕河(パク・ユハ)教授のフェイスブックだった。朴教授は16日、自分のフェイスブックで、福島汚染水問題が慰安婦賠償訴訟や徴用工裁判に続き、日韓間の法廷紛争につながることについて憂慮を示した。ところが、朴教授の発言の中に、「駐韓日本大使館のホームページに掲載された説明を読んだが、この説明が正しいのか、客観的なのかに対する判断能力が私にはない。ただ、(日本が)人々の健康を害する恐れのある汚水を海に流す破廉恥な工場主のような国ではないと思っているので、最善の選択をしたと信じようとする」という部分があったが、これが一部の韓国人の心に触れたのだ。
朴教授のフェイスブックには「こてで焼きたい」「日本政府からいくらもらったか」「福島に追放しろ」などのコメントが殺到し、とうとう与党の有力議員から「土着倭寇」と攻撃されることになった。
文在寅政権末期に再び「反日」の風
日本政府が汚染水放流方針を発表して以来、文在寅大統領は「国際海洋法裁判所に暫定措置とともに提訴する方策を積極的に検討せよ」と指示し、外交部は「必要なあらゆる措置を取る」と発表した。
しかし、韓国メディアも「被害を立証する責任は全面的に韓国にあるため、勝訴する可能性は薄い」と指摘する。しかも、すでに米国や国際原子力機関であるIAEAが日本の方針を「肯定的に評価する」と明らかにしたことから、韓国政府が想定する「国際世論戦」も容易ではない。
現在、韓国以外で強く反発している国は中国だけだが、韓国内では中国との連帯に懐疑的な世論が強い。米中間の「新冷戦」という状況下で、韓国が米国と対立している中国と連帯することに懸念を示しているのだ。
福島汚染水の放流は、日本政府の計画どおりなら2年後の2023年から始まる。両国が外交的に努力できる時間が2年も残っているという意味だ。
にもかかわらず、文在寅政権が外交的な協議の努力を飛ばして、直ちに提訴の検討に入ったのは、国民の「反日世論」に安易に便乗しているように映る。実際、今週に入って実施された2件の世論調査では、文大統領の支持率はやっと下落を止めて、小幅上昇した。
ソウル市長選挙や釜山(プサン)市長選挙で大敗し、新型コロナウイルスのワクチン確保失敗に対する国民的な非難に直面している文在寅政権末期に、「反日」の“強風”が再び韓国社会を襲うかもしれない。