日本政府の福島原発汚染水(処理水)の海洋放流計画に対し、韓国では連日激しい反応が出ている。

 日本製品の不買運動も再び動き出し、インターネット上では「#日本人が地球の井戸に毒を入れた」というハッシュタグ運動が繰り広げられている。ソウルにある在韓日本大使館の前には、韓国の進歩団体による籠城デモが続き、政界からも与野党を問わず、日本に向けた糾弾の声が挙がっている。

ソウルの日本大使館前のデモでは、旭日旗が切り裂かれ、菅首相の顔のパネルも登場した ©AFLO

反日デモ隊の“無法地帯”と化した日本大使館前

 4月13日午前、日本政府の「処理水処分に関する基本方針」が伝えられて以降、在韓日本大使館が入居しているビルの前は反日デモ隊の“無法地帯”となっている。

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「韓国大学生進歩連合」(大進連)が主体となっている「日本放射能汚染水放流阻止大学生緊急籠城団」は16日、このビルの前で記者会見を開いた後、無期限の籠城を叫びながら幅2、3メートルしかない歩道を占領した。

「大進連」は、2019年に釜山の日本領事館の敷地を侵犯したり、同年10月にはソウルの駐韓米国大使官邸の塀を越えたりするなど、反米・反日活動の先頭に立ってきた団体だ。

学生たちのデモの様子 ©AFLO

 今回も、集会やデモに関する法律、外交慣例などを考慮すると、日本大使館が入居しているこのビルから100メートル以内の集会は許可されていない。しかし、彼らは警察の制止にもかかわらず、すでに数日間に渡って野宿をしながら「籠城デモ」を続けている。5人で始まったデモが大きくなるのを防ぐため、警察は周辺にポリスラインを張って追加の人員が入ってくるのを防いでいるが、それでも人員は連日増えている。

 これに対し、韓国日刊紙「朝鮮日報」のインタビューに応じた警察関係者は、「解散を勧告し続けたが、『大進連』会員らが周辺を通行する市民を装って、籠城現場に入ってきた」と証言した。

数百人の警察と衝突も

 19日になると、日本政府が韓国政府や警察当局に強制解散を求めたが、韓国の与党「共に民主党」議員らは連日現場を訪れ、彼らの不法集会を激励しており、警察による「強制解散」はますます難しくなっている。

 20日には「大進連」所属の約30人が、ここで抗議の剃髪式を行い、放射能表示が描かれた旭日旗を破るパフォーマンスを行ったが、彼らが叫んだスローガンには、「汚染水放流反対」だけでなく、「日本との断交」や「GSOMIA破棄」も含まれていた。彼らは剃髪式が終わった直後、抗議書簡を渡すといって日本大使館への侵入を試みたが、阻止する数百人の警察と衝突し、緊迫した状況となった。24日午後には、日本大使館のビルを人間の鎖で囲む大規模なろうそく集会を予定しており、同日を基点に進歩団体による反日デモはピークに達するものとみられる。