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 この方法をメールに応用する場合、「ご返信いただいていないようなのですが、実は〇日の会議までにご返答をいただきたいのです。何日頃ご返事いただけますか?」と、あくまで日にちの確認をしている体で相手へ連絡をします。すると相手は「あ、返信忘れてた!」と思いつつすぐにメールを返信してくれるか、何かしらの理由があって返事が遅れている場合はその旨の返事を返してくれます(実際メールの返信がこない時、忘れている以外にも病欠だったり進行が遅れていたり、理由があって返信が来ないこともあります)。この時送るメールは「催促」ではなく「質問」なので、相手の「負い目」を刺激することを避けてくれるのです。

督促OLの工夫その2:「~している体」で話す

 もう一つ、督促で怒らせないよう工夫していた方法が「相手が入金している体」で連絡をすることでした。例えば、5月10日に支払いの約束をしていたお客様がいたとします。ところが5月11日に確認してみても、お客様からの入金はされていませんでした。督促の業界ではこれを「不履行」といい、入金約束をしたお客様の4割は不履行になります。

相手が「している体」できくことも大切 ©iStock.com

 不履行は、入金約束が破られた直後が連絡のチャンスです。それは「相手が入金している体」で連絡を取ることができるからです。

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「行き違いだったら申し訳ないのですが、念のための確認です。ご入金はお済みですか?」

 銀行振込の場合、15時を過ぎると翌日扱いになります。なので相手が入金をしている確率は0ではないので(まぁ大半入金していませんが……)あくまで確認ですよ、という雰囲気で連絡をすれば相手も「負い目」を突かれているとは感じません。こうすれば怒られることもなく「あ、ごめんなさいつい忘れてました」と言って、すぐ入金になるケースが多かったのです。

 メールも同じで返事が届いていないけれど、迷惑メールに振り分けられているなど相手が返事を送っている可能性は0ではないのです。そこで「私が見落としていたら申し訳ないのですが、〇〇の件のご返事っていただいていますか?」と確認の体で連絡をします。あなたを信じていないわけではないけれど、念のための確認なんです……これもあくまで確認というスタンスで催促の連絡をする。こうすれば相手の「負い目」を突くことなく、メールの再送を促すことができるのです。

「嫌い」という感情を生み出すもの

 これらの工夫を読んで、メールにここまでしなきゃいけないの? と思う方も中にはいらっしゃるかもしれません。けれど督促は、相手に嫌われてしまったらお終いです。嫌いな人間に入金したいと思うお客様はいないし、逆に相手に少しでも好感を持ってもらえたら入金してもらえる可能性は高まります。

 仕事も同じで、できれば嫌いな相手と仕事をするのは避けたいもの。でもその「嫌い」という感情を生み出すのは、日ごろのちょっとしたやり取りだったりします。たかがメール一つ。されどメール一つ。小さな工夫で、双方にストレスがないようにしながら仕事を進めていれば、いつか必ず報われる日がやってくるのではないでしょうか。