メールは今や仕事に欠かせないツールになりました。けれど、それと同時にストレスを生むツールにもなっているようです。

「予定はどうなっていますか?」と送ったメールの返事がこない。「確認してください」と送られてきたメールに、添付されているはずのファイルがない。

 こんな小さなイラッとする出来事でも、積み重なれば立派なストレスです。

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 しかもメールの催促は、メールを送る方にもストレスがかかりますが、催促を受けた方だって決して気分のいいものではありません。自分が悪いことはわかっているのですが、「返事はまだですか?」「ファイルが付いてませんよ」こんなそっけない催促メールの文面に思わず腹が立つこともあります。イライラが双方積み重なって、結局誰も幸せにならない。そんな不幸がメールというツールによって生まれています。

催促はなぜ不幸を生むのか

 なぜ、メールを催促すると不幸が生まれてしまうのか。それは、人には「罪悪感」があるからです。

 心理学の名著、スーザン・フォワード「ブラックメール――他人に心をあやつられない方法(別題:となりの脅迫者)」には、人間が操られる感情が3つ上げられています。「恐怖心」「義務感」そして「罪悪感」です。私たちは無意識にそれらが自分の行動に影響を強く与えることを知っていて、そこに触れてくる相手に自動的に不快な感情を持ってしまうのです。

 ではどうしたら相手に不快な思いをさせずに催促ができるのか? 私がしてきた「督促」という仕事をヒントに、少しだけ工夫をお伝えしたいと思います。

支払いの「取り立て」をしていた督促OLと一緒に考える「不快にさせないメールの催促」 ©iStock.com

督促の仕事でまず驚いたこと

 私は新卒で信販会社に入社し、キャッシングやクレジットカードなどの債権回収部門、督促を行うコールセンターに配属されました。督促とは支払いが滞っているお客様に入金を促す連絡をすること、簡単に言ってしまえば「取り立て」です。

 督促の仕事を始めてまず驚いたのは、電話をかけるお客様の大半に怒鳴られることでした。

「ご入金はまだですか?」と確認の電話をしているだけなのに「うるせぇな! 払えるんだったら払ってるんだよ!」と逆切れされる。「ご入金が遅れているようで……」と連絡をすると「しつこいな! 今払おうと思ってたんだよ!」と怒られる。