廃墟遊園地に子供の歓声が響いた
そして、後藤さんの了解を得て見学会を開くと、全国から100人以上が集まった。廃墟の駐車場は、車でいっぱいになった。入場口には行列ができ、その中には親子連れの姿もあった。廃墟の遊具で遊ぶ親子は、とても楽しそうだ。化女沼レジャーランドに、再び子供の歓声が響いた。まるで現役の遊園地に戻ったような光景を、私は感慨深く眺めていた。隣にいる後藤さんも、とても嬉しそうな表情だった。
「自分が子供の頃、親に連れてきてもらいました。自分に子供ができたら、連れてくるのが夢だったけど、もう無理だと思ってました。廃墟とはいえ、実現できてとても嬉しい」
こうした来場者の声を聞くと、これまでの労力が報われたような思いがした。後藤さんが尽力して遊園地を作り上げた時の気持ちが、ほんの少し分かった気がした。
錆びついた遊具は、今もそのまま……
しかし、肝心の売却の話は進まなかった。問い合わせのあった企業は、いずれも連絡が途絶えた。廃墟を喜ぶのはマニアだけで、一般的には“ただのゴミ”というのが現実だ。残された建物や遊具を片付けるだけでも、莫大な費用がかかる。単純に土地を買ってビジネスを始めるには、割に合わないのだ。
ならば、聖地とまでいわれた廃墟をそのまま活用しようと、廃墟のテーマパークにするべくクラウドファンディングを立ち上げる人も現れたが、これもすぐに頓挫してしまった。
その後、数年間にわたって見学会を何度か開催したが、廃墟が売れることはなかった。そして2018年、化女沼レジャーランドの所有権は、ついに後藤さんの手から離れてしまった。今なおアドバイザーとして関わり続けている後藤さんは、今年で90歳。錆びついた遊具は、今もそのまま残っている。いつか、化女沼レジャーランドが多くの人の笑顔であふれる場所に再生されることを、私は願ってやまない。
撮影=鹿取茂雄
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