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「すがる相手は二階先生しかいません」微妙なパワーバランスが働く原発事業で二階俊博が信望を集める“奇妙な理由”

『泥のカネ 裏金王・水谷功と権力者の饗宴』より #26

2021/05/03

source : 文春文庫

genre : ニュース, 社会, 政治, 経済, 読書

地元対策、行政、業者すべてに睨みを利かせる

 建設業者は中央官庁と業界、政治家の力関係について、こう分析する。

「電力会社と政界のあいだにも、微妙なパワーバランスが働きます。電力会社は監督官庁である経済産業省に首根っこを押さえられている。その経済産業省は、通産族の大物議員の言うことを聞かざるを得ん。経産大臣を務めていた二階先生などには、からっきし弱いのです。二階先生の強みは、そのあたりにもありました」

©iStock.com

 有体にいえば、地元対策、行政、業者すべてに睨みを利かせている。それが二階俊博なのだという。ゼネコンやマリコンが日参するわけだ。ちなみに二階の出身地、御坊市にある関電の御坊発電所は、東京ドームの7倍の広さを誇る人工島の上に建設された。そこに4基の火力発電所が林立している。御坊発電所の人工島埋め立て工事は、浮島につくられている関空のモデルになったともいわれる。

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逮捕された元秘書が下請け業者の支店長に

 この御坊発電所の建設工事に参加したのが西松建設である。その下請けとして、丸磯建設という重機土木工事の中堅ゼネコンが入っている。

 93年7月、ときの総選挙で二階事務所の秘書らが、5人も逮捕された選挙違反事件が起きた。その5人のうちの1人は、のちに丸磯建設の関西支店長になっている。二階事務所とのパイプ役にするため、丸磯建設が秘書を引き取ったというのが、業界の定説だ。選挙違反で泥をかぶった当の元秘書本人に、そのあたりを尋ねてみた。

「なんでそれを話す必要があるの? 僕は議員事務所を辞め、しばらく間があって、それで今の会社に入っただけです。人にそんなに興味を持たれるような関係ではありません」

 そうにべもない。丸磯建設は水谷建設や山崎建設などと並ぶ中堅の土木工事の下請け業者である。それだけに、政治的な動きもしばしば取り沙汰されてきた。小沢一郎の政治資金規正法違反事件で話題になった岩手県の胆沢ダムの工事にも、しっかり加わっていた。

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