なぜ彼女にお金が必要だったのか?
私は、みどりが石川に暮らしていた頃のことについても話を聞いた。
「中学を卒業してから、最初はラーメン店で働いていました。3年ぐらいいたと思います。それから、もっとお金が欲しいなと思って、18歳の時に金沢のデリヘルで働きだしたんです。その時に、コンドームなしでもオッケーして、多くお金をもらうようにしていました」
「何にお金を使っていたんですか?」
「パチンコをやったり、一番使っていたのはホストクラブです。お金が入ると、使わずにはいられないんです。ホストと話していると癒されるし、楽しいんです。泉の広場にいた時には、月に50万円は使っていました」
実家と縁を切るきっかけとなった子どもは、両親が養子として面倒を見ているという。
乳飲み子の時に、両親に預けてからは、子どもには会っておらず、両親とも連絡を取っていない。大阪が楽しかったということも事実なのだろうが、実家周辺にいられなくなり、大阪へと流れてきたのが真相ではないか。そして、再び大阪で体を売り、父親がわからない子どもを身ごもった。
「今、子どもたちは施設にいるんです」
「2人のお子さんは何歳ですか?」
「今、9歳と5歳になります」
「現在は、お子さんと3人で暮らしているんですか?」
「今は元彼と暮らしていて、子どもたちは施設にいるんです」
「それはどうしてですか?」
「2番目の子は、保育園の料金を滞納していたら、保育園から施設に連絡が行って、ネグレクトということにされて、施設に入れられてしまったんです。3番目の子は私が寝ている隙に外に出てしまって、近所の人にやはりネグレクトだと通報されて、施設に入れられてしまったんです」
みどりの言い分を聞いていると施設側の過剰な対応にも見えるが、私に隠している事も多々あるのだろう。それだけの理由で施設に入れられるとは到底思えない。ただ、子どもとまた一緒に暮らしたいという思いはあると、彼女は言った。
「今は、生活保護を受けていて、生活が安定していないので、子どもを施設から引き取ることができません。月に1回、施設の前の公園で会うことしかできません。それなので、まずは介護の仕事をしようと思っていて、週に3回介護施設に通って研修を受けています」