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なんで国民の健康のためのコロナ対策よりもオリンピック開催が優先されるの?

不要不急な活動を控えた結果、不要不急のラスボスが開催されるという理不尽

2021/04/30

 いやあまあ、オリンピックをやるからにはちゃんとやったほうがいい、とは思うんですよ。

 でもそれ、「いま」「今年の夏」である必要はあるんですかね、という話をしたいんです。

 だってね、東京で暮らしてると酒場に一杯やりに来たのに酒を禁じられて、電気消されるんですよ。小池百合子さんはワイの母ちゃんか誰かですか。なんだろう、この踏んだり蹴ったり。まあもちろん感染症対策は大事だよねと言われればその通りですし、ヒトとの接触を減らすために、無理筋と分かって各種政策を取らざるを得ない政治の立場も分からないでもない。

 信長の野望で言えば民忠が下がって一揆が起きるレベルですよね。

自分はコロナに感染しない、感染してもどうにかなるだろうと思う人々

 あまりにも対策を詰められるので、友達の酒飲みはわざわざ京急線に乗って川崎まで酒を飲みに行っていました。酔っ払って「町田も神奈川に割譲いいでしょ」「池袋は西武線や埼京線で前線に送り込まれた埼玉県民によって占領された」ので「町田や池袋は東京都ではないので、酒を飲む分にはかまわないのではないか」などと物騒なことを言い始める始末です。酒を飲みたいがためだけにそこまでやるのか、と思わずにはいられません。

写真はイメージです ©iStock.com

 接触を減らすために繁華街に出ないようにしようと対策したら、今度は路上で酒を飲む人が出たり、店舗の側にも「酒類の持ち込みOK」などというゲリラが発生しています。クソみたいな政策を打たなければならないところに追いつめられた政府や都道府県・自治体ですが、クソみたいなトンチでどうにかして外で酒を飲みたい日本国民の間ではコロナそっちのけの騒動に発展しました。

 問題は「酒を飲むな」ではなく、「酒を飲むなどして騒いで人と接触を深めて感染症のクラスターになるな」のはずなんですけど、酒を飲んで騒いでいるアホのために自宅で慎ましくしてる下戸の皆さんはとばっちりです。政策を打つ側も大勢で酒を飲みたい国民の側も、コロナ以前に脳みそが溶けているのではないかと心配になります。本来はとても怖ろしいはずの感染症への拡大防止策は国家ぐるみの壮大なギャグの様相を呈しており、「お願いベース」では1年と緊張感を持ち続けることはできなかったということになります。

 もちろん、ヒトとの接触を圧倒的に減らさなければ、感染力が強く、おそらく若い人でも重症化しやすいほど強毒化したように見える変異ウイルスの蔓延には対抗できないのでしょう。それは分かるんですが、人々の行動を見ていると、コロナ疲れというよりは、自分はコロナに感染しない前提だったり、感染してもどうにかなるだろうという気持ちで気軽に外出したり、通勤したり、子どもを送迎したりしているんだと思います。

 それもこれも、ワクチン接種が国民全体に広がり、その高い効果で文字通りコロナ流行を抑え込んで日常的な生活に戻ることができたイギリスやイスラエルのように早くなりたいわけですよ。もう一息で、いっぱいワクチンが日本にやってくるのが分かっているから、せめてそこまでは我慢してくれ国民よ、と菅政権が言いたい気持ちは分かります。我慢しない人が多いけど。