文春オンライン

「今思えばただ青かったなと…」岡崎体育が2年前、夢のワンマンライブ後に捨てた“プライド”

岡崎体育さんインタビュー #2

2021/05/29
note

29歳になって初めて気がついたこと

岡崎 さいたまスーパーアリーナのライブが終わったときとか、後でその写真を見返したときに、いや、これは一人じゃ無理やったんやな、って初めて気づけたんです。当時はもう29歳だったんで、気づくのがあまりにも遅かったですけど、人間的な成長と言いますか……。

 自分の気持ちや物事の考え方は、ここ10年で目まぐるしく変わりました。バンドをやっているときにその気持ちがあれば解散してなかったかもしれないですし……でも、あのとき一人でやろう!と思ったから、こうして自分の夢を叶えられたのかもしれないですね。

 

――またバンドをやりたいと思いますか?

ADVERTISEMENT

岡崎 去年の2月に大阪のエディオンアリーナでライブをしたときに、自分一人で歌うパートとは別に、バンドセットを組んでステージに立ったんです。それがリハーサルからすごく楽しくて! 初めて自分でスタジオの予約をとって、みんなで音を出したときの感動に近いものがありましたね。

岡崎体育は「とにかく浅い」

――色々な経験を経た、今の岡崎さんを分析すると、ご自身ではどんな人だと思いますか。

岡崎 浅いですね。とにかく浅い。でも浅いがゆえに出来ていることもあるかなと。

――浅い……? 深いがゆえの、『MUSIC VIDEO』をはじめとした鋭い観察眼があるのかと思っていましたが。

5月26日発売のコンセプトアルバム『OT WORKS Ⅱ

岡崎 絶対違いますね。自分でも分かっていますが、全く深くないし、何か作品を見ても、面白いなぁとか泣けるなぁとか、浅い感想しか出てこないんですよ。深すぎると逆に色々絡みついちゃって大変かもしれないけれど、僕は浅瀬でピチャピチャやってるだけなんです。だからこそ、自分の作品が出来たときは割とすんなり、あまり考えすぎずにパッと出せるのかもしれないです。

 それに……、結局何もかも演技というか、本心だけで活動することはできないと思ってるんです。たぶん僕だけじゃなくて、みんながそうだと思うけれど、上司にめちゃくちゃ楯ついたら仕事できないですし、面倒くさいなぁと思うことでも面倒くさがらずにやらないと、仕事は進まないですよね。全部正直にやっていたら生活できない。

 ただ、その中でも僕はかなり浅い方というか、岡崎体育という名前を盾にして自分の浅さを守っている感じもします。