溜まっているエネルギーを仕事で出す
岡崎 普段元気ないところとか。Creepy Nutsも僕もそれほどお酒を飲まないし、僕が知っている限り、彼らも人とご飯に行くこととかあんまりないタイプなんで。その分、普段溜まっているエネルギーを仕事で出せている、という印象はありますね。
あと、僕とCreepy Nutsだと、ツーマンライブをやっても3人だけなんです。それで打ち上げでもその3人でずっと喋っていて、その横にスタッフがおるみたいな。だいたいバンドの打ち上げって、1時間もすればメンバーがお世話になったスタッフのところに席移ったりするんですけど、僕らはずっと3時間、3人でダラダラ話をしているみたいなのがよくあって。誰も席立たへん。そういうところは似ていますね。
――そもそも音楽を始められたとき、バンドを組む選択肢もあったと思いますが、ソロで活動をされているのは何か理由があったのでしょうか?
「一人でこんなことやったぞ、見てみろ!」
岡崎 大学生の頃は、僕も例にもれずバンドを組んでいました。売れたら楽しいやろうなぁという思いでやってたんですけど、僕は協調性が無さ過ぎるし、仕切りたがりで、自分が思った通りにやりたい性格なんですよね。自分の養ってきた感性や育ち方もあると思うんですけど、人と何かを作り上げるというのが当時は難しくて。それやったら一人でやろうって思ったのが、岡崎体育を始めたきっかけでした。
――2019年、デビュー当時から目標とされていた、さいたまスーパーアリーナのライブも1人対1万8000人のワンマンライブでしたよね。
岡崎 バックバンドもダンサーもつけずに、ステージは全部僕一人で立ってやっていました。でも、それは自分一人でやれていることに満足感を得て、自己顕示欲を満たしていたというか……。一人でこんなことやったぞ、どうや、見てみろ!っていう自慢もあって、今思えばただ青かったなと。
よくよく考えてみたら、さいたまスーパーアリーナを押さえてくれたのはソニーの人やし、照明は照明さん、音響は音響さんがやってくれていて、ワンマンと言っても本当は一人じゃないんです。そもそも、完全に何かを一人で成し遂げるって難しいと思うんですよね。
たとえば一人で活動しているような漫画家さんでも、使っているペンはどこかのメーカーが作ったもので、そこには絶対誰かが関わっている。そう考えると、一人で何かを成し遂げた人ってほぼいないのかなって思って、以降はそのプライドみたいなものはなくなりました。
――そう思えるきっかけのようなものがあったのでしょうか?