新元号「令和」発表とともにスタートしたNHKの朝ドラ『なつぞら』。可愛いですよね、広瀬すずも子役も。そして画面から醸し出される『アルプスの少女ハイジ』感。もちろん、草刈正雄がおんじです。なんとなくクララとペーターっぽいキャラもいて、あとはロッテンマイヤー先生、大きな犬の登場が待たれるところですが、みなさんの記憶が鮮やかなうちに、平成最後の朝ドラ、あの夫婦の物語を振り返ってみたいと思います。

『まんぷく』最終回、売り上げが低迷していた「まんぷくヌードル」を歩行者天国で試食販売するまんぷく食品の社員たち。その作戦は大当たりで商品は完売。「福子、ふたりで外国に行こう。世界には僕たちがまだ食べたことがない麺がたくさんある」「はい、行きましょう、萬平さん!」……全151話に渡った福子(安藤サクラ)と萬平(長谷川博己)の長い旅路は、タイの水上マーケットで明るく幕を閉じました。

朝ドラあるある”最終週の過去キャスト登場”

 朝ドラあるあるですが、最終週は大団円に向かって、過去の登場人物たちも続々と登場。うさぎの着ぐるみでお爺ちゃんコントを見せた加地谷(片岡愛之助)さんや、かつて福子に恋をしていた野呂(藤山扇治郎)さん、白馬・蘭丸号のその後が気になる牧善之介(浜野謙太)と、例のCMパロディ「まんぷくヌードルだぁーい好き」をサクっとブッ込む妻の恵(橋本マナミ)、真一さんの後妻・好美(東風万智子)さん。そして鈴さん(松坂慶子)の生前葬に現れた元・塩軍団の赤津(永沼伊久也)! 登場時間5秒弱の赤津ーーっ!

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 それにしても、鈴さん80歳が完走してくれて本当に良かった。「私は武士の娘です」のパワーワードと抜群の間合いでたくさんの笑いを生み出した鈴さんですが、じつは彼女はこのドラマにおいて重要な役割を担うキャラクターでもありました。

福子の母・鈴を演じた松坂慶子 ©AFLO

感情と理性の両面からダメ出しできる、義母の特権

 福子の母・鈴さんの『まんぷく』における大事な役割、それは「萬平にある種、批判的な目を向け、それを言葉にする」こと。

 通常、この役割は妻が担当しますが、福子は世界で1番の萬平信奉者。さらに親戚やまんぷく食品の社員、友人たち、行きつけのパーラー経営者まで「萬平さんはすごい発明家」「萬平さんなら大丈夫」「萬平くんは天才や」と萬平マジックにヤラれているため、彼に感情と理性の両面からダメ出しできるのは義母の鈴さんオンリー。

 過去には福子の「萬平さんは発明家」というフレーズに「そう? 私には行き当たりばったりに見えるけど」と真っ当な疑問を呈し、泥棒に入った神部(瀬戸康史)を家に置くことにも当然猛反対。泉大津での塩作りには「塩でお金が入ってくるの?」。できた塩には「茶色い、茶色いっ!」。

 視聴者にとっても彼女は萬平に対するモヤモヤやイライラを代弁してくれる毒抜き的存在であったワケです。鈴さん、ありがとう! 忘れないよ、ブシムス!