京都府宇治市出身のミュージシャン・岡崎体育さん。二枚目なのか三枚目なのか、演技なのか本音なのか、多才かつ奇才過ぎてもはや謎めく存在です。

 2016年に発表された『MUSIC VIDEO』は、ファンのみならず業界関係者にも衝撃を与えた一曲でした。人物や物事の特徴を鋭く捉えた観察眼を武器に、クスッと笑わされるネタ曲から、隣に寄り添ってくれるような楽曲まで、実に幅広い音楽を生み出しています。

 また、音楽活動だけにとどまらず、ドラマやバラエティーなどでも活躍中。あらゆる分野で「岡崎体育」としての圧倒的な存在感を放ち続ける裏には、一体どんな秘密があるのか――。ご本人に聞きました。(全2回の1回目/後編に続く

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岡崎体育さん

チャチャ入れる奴が紛れ込んだ感覚

――岡崎さんの特徴とも言える観察眼は、どのようにして鍛えられたのでしょうか。

岡崎体育さん(以下、岡崎) 僕はアーティストとしての意識が低すぎて、どこか客観的に業界を見ているふしがあると自分では思っているんです。だから、アーティストの中に一般人のチャチャ入れる奴が紛れ込んだみたいな感覚で、「うわっ、こういうのよくあるな」とか、「こういう経験みんなしてるんやろうな」と思ったことをメモに書いて、それを曲にしていて。そういう部分が一つの要因なのかな、と思っています。

――とはいえ、デビュー前、それこそ子どもの頃から岡崎さんの“人を見る目”は養われていたのではないかとも思うのですが。

岡崎 僕は京都の宇治市という街で育ちましたが、京都府京都市からすると、宇治市は京都と認めてもらえてないな、というのがあって。だから常に京都市民に対して劣等感のようなものを感じていたんです。一方で、「あんたら、俺らと比べて何が違うんだ!」という思いもあって。そういうところから、気づけば子どもの頃から京都市民の粗探しとかを、潜在的にやっていたのかなという意識はありますね。

 

――小学生、中学生あたりの頃ですか?

「やっぱり俺らと違うんだ……」

岡崎 中学生ぐらいから、学校の友達と京都市まで服を買いに行くようになると、その辺に京都市内の中学生っぽい奴らとかいるんですよね。彼らはどこかお洒落やったりして、New BalanceとかNikeとか履いていて、シュッとしてるんです。それで、ああ、なんかやっぱりちゃうんかなと。

 ヤバイTシャツ屋さんのこやまくんという、僕と同じ街出身で、中学の部活の後輩がいるんですけど、彼もやっぱり近い感覚で、同じ劣等感があったみたいですね。別に京都市に限らず、テレビに出ている東京の中学生を見ても、やっぱり俺らと違うんだと感じましたし、そういう田舎出身独特の劣等感みたいなものが、観察眼を養ったのかもしれないです。

――ちなみに学校内では、目立つグループや大人しいグループなど色々ありますが、岡崎さんはどんな立ち位置だったのでしょうか?