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「森岡氏は北川さんが知事になるんを見越しとったんと違うやろか。北川さんは、話も上手やし、気さくな感じもする。風を吹かせる名人やから、選挙には強かった。ある意味では恐いよ、って森岡さんは言うてた。それで、森岡さんは北川さんの金銭問題をネタにして脅したんやろ。そうして、黙っていてくれれば、水谷会長が生活できるように面倒見る、という話になったらしい。『北川は、こんなときだけ電話かけてくるでな、森岡を頼むと。参るわ』と水谷会長が愚痴をこぼしていました。森岡さんは、面倒を見てもらう代わりの条件として、4年間、三重をところ払いになったんです」(同前)

“ところ払い”とは、ずい分時代がかった表現だが、要は県庁に出入りしない、という約束だそうだ。北川が知事になったあと、その元秘書が三重県庁関係の仕事にタッチすれば問題になるからかもしれない。再び前出の側近が説明する。

「北川のことは一切しゃべらん」

「水谷会長と森岡氏とは、『この先、北川のことは一切しゃべらん』という4年契約を結んだ。その条件が5000万円。2億円払ったという噂も流れたけど、そんなに払ってへん。まあ、4年で5000万円やから、そんなに高くはないやろ」

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 2億円の噂は、1年あたり5千万円かける4年という計算から出た話だったのかもしれない。実際には、年に1250万円の口止め契約という勘定だという。カジノで1日に1億円近く勝負する希代のギャンブラーにとっては、目をむくほどの高額ではないかもしれないが、といっても、森岡は水谷建設の企業グループ社員として働くわけでもなかった。やはり口止めの条件として悪くはないだろう。

 当の北川正恭に率直に尋ねてみた。

全否定を繰り返す北川

「たしかに水谷さんとの面識はあります。しかし、その5000万円なんてまったく(聞いたことは)ありませんし、4年間のところ払いなんていうのも初耳です。ははは、100パーセントありえない話です」

 そう全否定する。

「(森岡が三重県を離れていたかどうか)そのあたりはわかりません。知事になる2年くらい前でしょうかね、話し合いはしました。それだけですから」

 ではみずからの借金問題についてはどうか。

「そんなのあるわけないじゃないですか。本当にありませんよ」

 政治家なら選挙で借金しても不思議はないが、必要以上に金銭問題を否定するようにも感じる。北川はそう言いながら、こう切り返してきた。

「決してありません。こんなあり得ない話を書かれるんですか? (森岡)本人に確認できるのかどうか知らんけど、確認してほしいですね」

 水谷建設の関係者との話とは、まったく異なる回答だ。借金問題や口止め料など森岡との関係については、ひところ評判になったが、北川は初耳だと繰り返す。むろん口止め料を受け取ったとされる森岡自身にも尋ねてみた。だが、「俺はいっさい取材には応じない」と口を閉ざすばかりだ。