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駅前で20年以上体を売り続けた女性(53)が語るコロナ禍のリアル 常連客の高齢者は「行かない!死にたくない!」

『新型コロナと貧困女子』より #2

2021/06/03
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セックス、セックス、セックスの20年

「池袋に来てから20年間、毎日、毎日セックスしているよ。でも、最近コロナでご無沙汰。こんなこと初めて。うち、実は本当にセックスが好きで、仕事と趣味の境目ないから」

 喫茶店で30分くらい話している。美子さんはそんなことを言いだした。性欲が異常に強いらしい。街娼としていくらセックスしても、全然飽きないらしい。もともとの性格が好色だったことで街娼を20年間も続け、これからもずっと続けると言う。

 池袋駅西口の街娼スポットで、美子さんは他の女性たちにも増して群がる男性たちに触られていた。無職、ホームレス、独居老人たちは胸を中心に念入りに触り、当たり前のように豊満な胸を揉みまくり、みんなで盛り上がっていた。一般的な女性には当然、また風俗嬢や売春婦にでも、仕事以外で触ったりすることは常識的に許されない。しかし、美子さんにはそういう感覚はなかった。

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「ちゃんと売春を商売にしなきゃって、反省はある。だけど、触られると感じちゃうんだよ。それで勢いでホテルに行ってお金もらわなかったり。そんなふざけた感じだったから、しばらく立ちんぼになっても稼げなくて。ちゃんと商売として売春するようになったのは、せいぜいこの5年くらいかな。おばさんになって、やっとまともになったというか」

写真はイメージ ©️iStock.com

 新型コロナが始まってから常連客は来なくなった。外出自粛要請の影響で路上で声をかけてくる人もいない。収入減と同時に性行為の回数も減っていることになる。美子さんは日々売春して性行為をして、特定のパートナーをつくることはしてこなかった。男なら中年でも高齢者でも、ハゲでもデブでもOKで「みんなのセフレみたいな感覚」だそうだ。

【前編を読む】出会いは「売春婦」と「買春客」という関係で…池袋駅西口で体を売る女性(39)が明かす“街娼の恋愛事情”

新型コロナと貧困女子 (宝島社新書)

中村淳彦

宝島社

2020年6月25日 発売

駅前で20年以上体を売り続けた女性(53)が語るコロナ禍のリアル 常連客の高齢者は「行かない!死にたくない!」

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