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マヨネーズの動向が気になる

 各社の回答からわかる通り、日本ではコロナ禍にありながら、どの調味料のミニパックも供給不足や枯渇に直面してはいないようだ。

 ただし別の意味で唯一気になるのが、マヨネーズである。

 『マヨラー』なる言葉が定着して久しいことからわかる通り、日本人は世界に冠たるマヨネーズ好きの国民。にもかかわらず、他の調味料はテイクアウト需要増の影響で売り上げを伸ばしているのに、堅調とはいえマヨネーズのミニパックだけが、前年比で減少しているのはなぜなのか――?

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なぜ日本人はマヨネーズ好きになったのか

 とその前に、そもそも欧米由来のマヨネーズがなぜ日本人の舌を魅了したのかについて、解き明かしてみたい。

 マヨネーズ誕生の起源から日本の食文化への普及史や栄養学的考察、さらには国内外70商品の実食批評までを網羅した『マヨネーズ大全』の著書があるライター、カベルナリア吉田氏が語る。

『マヨネーズ大全』の著書があるライター、カベルナリア吉田氏

「大正14年に国産初のマヨネーズが食品工業(現在のキユーピー)から発売されたのですが、当時は高級品扱い。日本での本格的なマヨネーズ普及の第一波は第二次世界大戦後、アメリカからの進駐軍によってもたらされました」

 当時のアメリカ人の食卓に、マヨネーズをかけた生野菜サラダは欠かせないものだったという。自国と同じ食事を求める米軍兵士の要望を受け、日本でも生食用の野菜の栽培が盛んとなったことで、市場にサラダ用野菜が出回るようになる。

「それに伴い、一般的な日本人の間にも戦前までの煮物、おひたし、漬物とは違う、サラダという野菜の新しい食べ方が広まったことで、マヨネーズの消費量も急増していったのです」(吉田氏)

モスのテリヤキバーガー、セブンのツナマヨおにぎり…

 さらに食に貪欲な日本人は、『和』の素材との組み合わせにも手を広げ、これが人気定着への第二波となったことで、マヨネーズは国民的調味料の地位を手に入れるのである。

「1973年にモスバーガーからテリヤキバーガーが発売されましたが、醤油と味噌ベースのソースと、たっぷりのマヨネーズとの相性の良さから、同社の名物メニューに。そして1983年、セブン・イレブンにツナマヨおにぎりが登場し、多くの日本人がごはん+マヨネーズのおいしさに目覚めました。こうした商品の人気も、日本ならではの柔軟な発想でのマヨネーズ使いを後押ししたようです」(吉田氏)

 さらに他国製にはない、日本のマヨネーズだけが持つ特徴も、我々の舌を魅了する大きな原因のひとつになっている。