「鞍掛タイプ」
(1) ころも薄めの鞍掛
さて、次はユニークな「鞍掛タイプ」である。鞍掛といえば、厚焼き玉子の提供の仕方として有名である。玉子のにぎりとしても高級店などで登場する、あの八の字のように一辺がつながったタイプ。それが立ち食いそば屋で出会えるわけである
まず、最初にご紹介するのは、笹塚にある「柳屋」の「ソーセージ天にんじん天そば」(530円)である。1年ぶりの訪問である。女将さんはお元気でなにより。さて、こちらの「ソーセージ天」はほぼ半分に横に切ったソーセージを鞍掛にして揚げている。よく揚がった姿にうっとりする。そばを食べていくとそばの色が黒く染まる。女将さんによると「ソーセージ天」は先代の創業時の昭和48年頃にはメニューにはなかったそうだが、10年後位に登場させたそうだ。鞍掛タイプにしたのは食べやすいようにという配慮だと思われる。
(2) ころもやや厚めの鞍掛
次は、同じ鞍掛でもややころもが多いタイプとして、「岩本町スタンドそば」にも訪問してみた。年季の入った外観の入口をくぐると、そこは天ぷらのワンダーランドだ。ショーケースにずらっと並ぶ中に、「ソーセージ天」を発見した。「ソーセージ天そば」(410円)をさっそく注文。登場したそのつゆはまさに染まり系の元祖といえる黒さである。一口のむと不思議なことだがしょっぱくない。「ソーセージ天」の長さは1/3程度だろうか。しっかりと多めのころもで揚げられており、揚げ具合はしっとり。
(3) ハード系の鞍掛
さて、鞍掛の王道といえば、千葉県市川市の「鈴家」をはずすわけにはいかない。こちらではもちろんどんぶりを覆いつくす「げそ天」を注文するのは当然のことだが、こちらの「ソーセージ天」も相当インパクトありである。しっかりと揚げられたハード系の鞍掛は、ソーセージの表面がカラッとする位揚げられている。こちらも1年以上ぶりの訪問である。ご主人はお元気そうでなにより。さっそく、「冷やしげそ天ソーセージ天そば」(730円)を豪華に注文してみた。そして、登場したその姿は圧巻である。壮絶にでかい「げそ天」、すごくよく揚げられたころもの少ない「ソーセージ天」、そして、出汁のすごく利いた透明な冷やしの「潮のつゆ」。表面がよく揚げられた「ソーセージ天」をまずかじる。そして、顎が粉砕するほど手ごわい「げそ天」に挑んでいく。途中、「げそ天」も「ソーセージ天」も区別がつかなくなるワイルドなどんぶりと化していく。格闘すること6分。顎が悲鳴をあげてきた。死ぬまでに一度は食べておきたい一品である。