お笑い芸人ナインティナインの岡村隆史が「コロナが収束したら、美人さんがお嬢やります」とラジオで発言したのが1年前。当時は大きな批判を浴び、謝罪に追い込まれたが、実際に「お嬢」をやり始めたのはもっとイノセントな少女たちだったようだ。
コロナ禍が収束せず、何度も緊急事態宣言が出され続ける令和3年の日本で水商売や風俗業界に身を投じているのは、この春に上京し大学や会社などで新生活をはじめた「新卒生」が多いのだという。
その理由として一番大きかったのが「そこしか働く場所がなかった」というもの。まずは5月から都内のキャバクラで働きはじめた石室桜さん(仮名、18歳)に話をきいた。(取材・執筆=素鞠清志郎/清談社)
ほかに働く場所がない
「高校の時からコロナで授業が遅れ気味だったけど、逆に受験勉強する時間は出来たので、自分でも思ってなかったレベルの大学に合格することができたんです。それで急いで住む場所も決めて、3月に上京してきました。
漠然としてますけど、私にとっての大学生活は同じような趣味の友達と出会って、一緒に勉強して、サークルに入って、いろいろな所に遊びに行って……というイメージ。家賃や遊ぶお金はオシャレなカフェとかレストランでバイトして稼ごう、と思ってました」
しかし実際に始まった大学生活は、石室さんの想像したものとは大きく違っていた。
「でも、いざ大学が始まっても授業はほぼリモート。オンラインでどうやって仲を深めたらいいのかわからず、友達が出来ない。誰かと話すこともないのでどのサークルがいいかもわからず、まだどこにも入ってません。噂にきいていた新歓みたいなものもなく、遊びに行くこともないので、ほとんど家にいるだけという毎日でした」
石室さんの実家はそれほど裕福ではなかったこともあり、学費は親が出してくれるものの、家賃と生活費は自分で稼ぐ約束だった。
「それでも家賃は出ていくので、バイトだけはしなきゃと思って探し始めたんですけど、オシャレなカフェも、レストランも、コロナで休業しているせいか、ほとんどバイトを募集していない。やってるところも時短営業なので、働けても1日3~4時間。毎日入っても家賃に足りません。
まさかこんなにすぐ切羽詰まってしまうとは思わなかったですが、仕方ないので求人サイトで『高収入』で検索し、キャバクラで働くことに決めました」