また、2台分の駐車場が必要になり、月額8000円を支払っている。2年に一度は車検を受ける必要があるため、2台で12万円と仮定しても、月当たり約5000円だ。
車を保有することで、自動車税も納付しなければならない。2台で約1万5000円、月額約1250円だ。
これらの車両費を合算すると、月当たりの負担は3万2250円になる。淡路島への移住により筆者の生活費は家賃の差額分4万6000円安くなったが、車両費を引けば1万3750円だ。自宅は格段に広くなったものの、固定的にかかる生活費自体は都内で生活していたときと大きく変わらない。なぜなら、光熱費が都市部より割高になるからだ。
プロパンガスは都市ガスの1.8倍
2016年4月の電気の小売業への参入が全面自由化されたのに続き、2017年4月には都市ガスの自由化が始まった。市場が開かれたことで競争原理が働き、電気とガスのセットプランなどを設け、1社独占状態だった当時より安い料金を提供する会社も出てきたが、それは都市部に限った話だ。
そもそも、田舎は「都市ガス」ではない。都市ガスの供給エリアは、国土面積の約6%に留まっているのが現状だ。だったら、田舎では何を使っているのかと言えば「プロパンガス」(LPガス)だ。ガスの原料や成分も違えば、その供給方法も違う。
都市ガスは地中のガス導管を通し、各家庭に提供されるが、プロパンガスは各家庭にガスボンベを設置し、そこから提供する形になる。ガス導管の設置には多大なコストがかかるため、その費用を回収できる都市部でしか都市ガスは提供されていないのだ。
都市ガス供給区域内の世帯比率は都市部では軒並み100%に達するが、全国平均では54.2%に過ぎない。筆者はそんなことも知らず、東京から都市ガス対応のガスコンロとガスファンヒーターを引越しの家財道具に含めて持ってきて、引越し先で早々に捨てる羽目になった間抜けな一人だ。
さて、問題は料金だ。供給方法がガス導管だろうが、ガスボンベだろうが、どちらでも構わないのだが、プロパンガスは都市ガスに比べて割高になる。試しに、東京に住んでいた時代に利用していたニチガス(都市ガス)と、淡路市で契約するガス会社(プロパンガス)の料金を比較してみる。基本料金こそ大きな違いはないが、使用料により加算される従量料金が2倍以上違う。
移住者は「ガス代が高くなった」と口を揃える
手元に2020年12月検針分のガス代の請求書がある。1か月の使用料は21.4㎥で、従量料金は8999円だ。一方、東京に住んでいた時代に契約していた東京ガスの料金表を見ると、21㎥なら従量料金は3338円(一般料金)だ。
事業者により料金は異なるものの、取材した移住者の全員が都市ガスからプロパンガス供給エリアに移住しており、「ガス代が高くなった」と口を揃えた。
日本生活協同組合連合会の「わが家の電気・ガス料金しらべ」(2019年)によれば、都市ガスの1㎥当たりの料金は170円。一方のプロパンガスは、都市ガスの約1.8倍の313円だった。