——青木さんの「弱さ」は怒ること?
青木 弱さというか、怒ることが自分の欠点だと思ってました。「なんでお前、そんなところで怒るの?」ということをデフォルメしていただけなんです。そこが私の欠点だったから。欠点をさらけ出すことで、私のことを好きになってほしかったんだと思います。
放送を見たら「お笑い芸人志望」になっていた
——今日は青木さんとお笑いとの距離感についてもお伺いしたいんです。そもそもなぜお笑いをやろうと思われたのか。
青木 大学の時に就職試験に全部落ちて、アナウンサー予備校に通ってたんですね。そのままそこに所属して、タレントをやり始めました。
当時『ASAYAN』が流行っていて、名古屋でも『ASAYAN』みたいな番組ができたんですよ。中京テレビさんの『めざせ!総・楽・天』という番組。そのオーディションを受けたら受かったんですけど、放送を見たら私の紹介が「お笑い芸人志望」になってたんです。
エーッ……って思ったんだけど、当時ゲストできていた松本ハウスさんが「すごい面白い。才能あるよ」って言ってくれたからその気になってしまいました。松本ハウスさんがすごく好きだったので。
——ご自身が志向されていた訳ではなかったんですね。
青木 志向したことはないですね。だから……続いてないんだと思いますけどね(笑)。私、考えてみたら自分を芸人だと思ったことはないんです。
——そうなんですか!
青木 そうなると「じゃ帰ります」ってことになっちゃいますか(笑)。
——いや、この特集で取材した女性芸人さんの多くが同じことをおっしゃいます。芸人だと思ったことはないって。
青木 そうなんですね……。プロフィールも会社とよく話し合いましたね。「私は芸人でもタレントでもない、女っていうことにしておいてくれ」って言ったんですけど、それは通らなくて。
芸人って何なの?って考えると、私はネタはそんなにできないし、ずっと小屋に立っているわけでもないから、何をもって芸人なのかというとちょっと難しいところだなと。いまもいろんな言い方をされます。「芸人だ」と言われることもあるし「タレント」もあるし、「女優」「エッセイスト」も言われたことあるし。
それを一つ一つ否定してたら全部「違います」ってなっちゃうから、もう何でもいいかという感じで。人が思うものでいいと思ってます。
——「女性」ということだけは、はっきり言える。
青木 そうです。私は男性的ではないんですよ。
——面白いです。
青木 その発想が芸人だろう、ですよね。でも、自分で言ったことはないんです。自分で芸人だって言ったこともないし、ギャンブル依存症だって言ったこともない。それは人が言ったことであって、そこに乗っかっているだけで。
——青木さんのエッセイを読むと、ギャンブルにハマり、借金を作り……その少し自己破滅的な青春時代が、一方ですごくお笑いとフィットしていたのではないかと。
青木 そうかもしれませんね。さっき話した「欠点をデフォルメする」というのは、ザキヤマさんが……ザキヤマさんって呼んだことないですけど、アンタッチャブルの山崎(弘也)さんが教えてくれたことなんですよね。山崎さんが真面目なこと言ってるとか営業妨害になっちゃうかもだけど(笑)。