怒とうの補強を敢行した。マリーンズは6月13日に交流戦の全日程を終了すると試合のない14日にベイスターズからトレードで国吉佑樹投手の獲得を発表。さらに15日にはドラゴンズから加藤匠馬捕手を獲得。16日には元ドラゴンズのエンニー・ロメロ投手の入団を発表した。球界騒然の3日連続の補強発表。首位のイーグルスとは3.5ゲーム差。リーグ戦再開までの空白の4日間を利用して追撃に向けて態勢を整えた。
「トレードを言われた時は最初、ビックリした」
国吉は160キロを超えるストレートが武器のパワーピッチャー。井口資仁監督は「勝利に導くセットアッパーとして期待をしている。ストッパーの益田に繋ぐ勝ちパターンでと考えている」と評価。早くも勝利の方程式として計算に入れている。本人にもその想いは伝えており、国吉自身、意気に感じている。「トレードを言われた時は最初、ビックリしたけど今は頭の中をリセットしてマリーンズの一員として勝利に貢献することしか考えていない。ストレートが持ち味なので、力で押していきたい。出来るだけ多く登板をして精一杯、腕を振ってチームの勝利に貢献していきたい」と熱く抱負を語った。
加藤は「加藤バズーカ」の異名を持つ強肩が売りの捕手。指揮官は「(正捕手の)田村が離脱している状況もある。チーム防御率も盗塁阻止率も低迷している中で彼の存在は大きい。若い投手が多い中でチームを引っ張る存在として期待をしている」と話す。この言葉に加藤も「チャンスをいただいたので頑張りたい。自分は投手のいい球をどんどん引き出して投げさせたいと思っている。そういう意味ではまずしっかりとコミュニケーションをとって、どんなボールを投げてどんなボールが得意なのか、どんな性格をしているのかなど投手の特徴を一日も早くしっかりと把握した上でリードをしたい」と話し、自慢の肩については「肩でアピールできれば。盗塁は全部、刺すという気持ち。まずはディフェンスからアピールしていきたい」と胸を張る。
そしてトレードと同時に進行していたのが新外国人補強。目をつけたのは昨年までドラゴンズに在籍し現在はメキシカンリーグに所属するエンニー・ロメロだ。2019年には21試合に登板をして先発として8勝10敗で防御率4.26の成績を残した助っ人。エースの石川歩投手が右肘関節クリーニング手術を行い長期離脱をするなど苦しむ先発投手陣の中で期待される存在だ。
この選手について井口監督は「一昨年の活躍は覚えているし最近の状況もオリンピック予選の映像で見ている。石川が離脱し投手陣が苦しい中、先発の一人として戦って欲しい」と期待を込める。このロメロはドラゴンズでは加藤とバッテリーを組んだ間柄でもある。2019年6月17日、ZOZOマリンスタジアムで行われたマリーンズ対ドラゴンズの交流戦 ナイトゲームでは7回を投げて11奪三振の被安打4、4失点で勝ち投手になっている。
この日、マスクを被っていたのが加藤。前日16日にはマリーンズ5点ビハインドで迎えた最終回にマリーンズが大逆転して勝利。その余韻冷めやらぬ中、迎えたゲームで見事にドラゴンズに流れを引き戻したのがロメロと加藤のバッテリーだった。逆に前日に大逆転勝利をしたマリーンズとしては勢いに乗りたかったこの試合で敗れたのはあまりにも痛く、ロメロの快投と、巧みに持ち味が出るようにリードした加藤の存在が記憶に刻まれた。